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2008年10月10日 (金)

「御名御璽」と官僚政治

■株価暴落など世界的な金融危機・景気悪化を受けて、総選挙の日程が少し先延ばしかなどと言われている中で、麻生首相・所信表明に始まる国会論戦を皆様どのように眺めておられるでしょうか?政権交代が懸かっているだけあってそこそこの迫力ではないかと民主VS自民の対決劇を時々見ていますが、少し気になったので自分のアタマの整理メモを残しとこうと思いました。

■まずは麻生さんの目一杯気張った「かしこくも御名御璽(ギョメイギョジ)をいただいた」発言には驚きましたね。最初ナンのことやらと思っていましたが、志位さん(共産)の代表質問などで批判があったので新聞の麻生演説全文をみたりしました。内閣総理大臣の任命は天皇の名において行われる国事行為だから、天皇の氏名・公印が付されること自体当然なことなワケだけど、あえて「かしこくも」(恐れ多くも)と「御名御璽」に言及する発想の問題ですよね。

■その延長に「118年の憲政の大河」とか「統治の伝統の・・連綿たる集積」とかの言葉を重ね合わせると、ああこのヒトの歴史理解は明治天皇制国家や大日本帝国憲法(体制)を肯定的に考えているのだなと伝わりますよね。麻生総理個人の歴史認識や政治思想をここで考察するつもりはないのでそれ以上のことを言うつもりはないけど、民主党との対決軸である「官僚政治からの脱却」と大いに関係してくるから問題なのです。

■民主・小沢代表の「所信表明」や管直人も「官僚まかせの膨大な税のムダづかい」を変え「税金を官僚から国民の手に取り戻す」ため、明治維新・戦後改革に次ぐ第三の革命としての「平成維新」を断行すると言い、ミスター年金の長妻議員も「官僚をコントロールできない自民党システム」による「ムダづかい五つの仕組み=ひも付き補助金・天下り・特別会計・官製談合・随意契約」を全て廃止するのが民主党だと述べている。これに対して麻生総理の「(官僚・公務員には)信賞必罰で臨む」は官僚政治への改革論が見えず、如何にも見劣りがする。

■さて、官僚政治からの脱却とはナニか?「汚染米事件」も「消えた(改ざんされた)年金問題」も官僚の腐敗の極めつけであり、モンスターのように肥大化した日本行政国家の明らかな劣化状態を示す事例(というより行政犯罪そのもの)ですよね。それでは日本に顕著な行政権の肥大化のメカニズムってドーなっているかといえば、先ずは「明治憲法が生んだ『無限大と無答責』」(「国民がつくる憲法」五十嵐敬喜等)という問題に突き当たる。

■(明治憲法下では)「行政は神でありすべての権限を持っている天皇が一手にこれを行うということでる。天皇は神であるが故にその仕事に限定がなく、またその仕事に責任もないとされたのである」これを無限大と無答責という。「戦後、現憲法は『行政権は内閣に属する』とした」「しかし、この戦後改革でも、明治憲法での行政権の『無限大と無答責』という理解は克服されていない」(同上)ここに日本の官僚(システム)の力の源泉が潜んでいることを先ずは理解しておかねばならない。松下圭一の「絶対・無謬・包括の国家主権観念(の残存)による官治集権政治」もこれに対応すると考えられる。

■その意味で麻生の「御名御璽」発言は大日本帝国憲法と不徹底な戦後改革がもたらしている日本版官僚政治の根っこである天皇制に対する擁護発言として解釈しなければならない。その上で官僚政治からの脱却には「議院内閣制」という国会多数派(与党)が立法、行政の二権を掌握し、そして最高裁判事の任命を通じて事実上司法を含む三権を握る独裁的な権力構造が、そのもとで官僚が圧倒的な力を持つことが出来るという制度自体の「大統領制(立法権はない)」への転換や国民投票制度など国民の直接意思が行政をコントロールする直接民主主義的改革が課題として浮かび上がってくるのである。

■最後に、官僚政治の究極の解体こそ補完性の原理による行政(権限・財源)の地方分権ですよね。つまり立法権・行政権は、国に独占されるのでなく自治体も自治立法権・自治行政権として市民から信託された地方政府に分節されて始めて、国家主権から国民主権(市民主権)の憲法(構造)を我がものとすることができるというワケです。さて次はマニフェスト対決を早くみたいですね。
2008年10月10日(金)17:25

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