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2009年9月11日 (金)

自治基本条例、市議会初の質問

■9月9日(水)、狛江市議会の一般質問で初めての(分権時代の標準装備である)「自治基本条例」をテーマとする質問が市原広子議員によって行われた。エーそんなバカなと思う方は、狛江市議会の会議録検索システムで確かめてほしい。(平成15年以前はデータ化されていないのであしからず)唯一議論の痕跡といえば、平成15年(2003年)の市民参加・協働条例制定時に当時生活者ネットの佐々木貴子議員が参加条例への意見討論で「生活者ネットワークは行政活動だけへの市民参加の手続きは不十分だとし、議会への市民参加を含めた自治基本条例の制定を求めましたが、取り上げられませんでした」と述べている程度です。

■ちなみに三鷹市市議会会議録では平成11年6月議会での(私の知人でもある)嶋崎栄治VS安田養次郎前市長との議論を皮切りに頻繁に(地方分権と)自治基本条例を巡る質問が行われています。正直言って悔しいので認めたくないのですが、三鷹市議会と狛江市議会のこの10年の落差、そして何より議論水準の格差をあらためて突きつけられた思いです。

■市原議員の質問タイトルが「狛江市は市民参加・協働条例で分権自治の時代を乗り切れるかー求められる自治基本条例」とあるとおり、「市民参加(条例)」は今では常識のように思われますが、おカミ依存・お任せ民主主義の自治体の風土を変えて、住民(市民)自治の仕組み・制度化する画期的な条例でした。狛江市もそうですが、平成9年(1997年)箕面市市民参加条例をモデルに全国に波及してきたものです。都市型社会(市民社会)の成熟による政策合意形成を、劣化した地方議会を補完する(乗り越えて)直接民主主義システムの欲求となって現れたものと理解できます。だからこそ矢野市長が最初に提案した市民参加条例(平成12年)を当時の狛江市議会多数派は(議会の権威を低めるとして)否決して抵抗したのです。

■一方、「自治(体)基本条例」はまさに当時の佐々木議員が指摘したように行政活動だけの参加でなく、主権者である市民による議会も含めた市政全般への信託のありかた、市政運営のルール等を市民が決めて行政・議会に誓約させるもの、まさに自治体の憲法(国民が国に約束させる)であるわけです。それが急速に広まった契機は2000年(平成12年)地方分権一括法で中央政府の下請けから対等の地方政府となったことからと言われています。つまりもうひとつの自治=団体自治として対等な政府間関係(地方政府発足)を宣言する意味合いも含まれているからです。

■こちらの方は、平成13年(2001年)ニセコ町まちづくり基本条例をモデルとしてすでに100近くの自治体が制定済みです。市原質問への答弁にもあったように、多摩でも多摩市(平成16年)、三鷹市(平成17年)、国分寺市(平成20年)、清瀬市(これは自治基本条例としてカウントすべきでないと思いますが)の4市が制定済みで、武蔵村山市、町田市、小平市、調布市などでその準備が進められています。さてかねてより自治基本条例のモデルとすべきは多治見市市政基本条例(平成18年)にありと口を酸っぱくして言ってきていますが、もちろん我がまちのルールですからそのバリエーションは様々です。例えば中野区条例では首長多選禁止をルール化したりしています。

■さて多摩地域ではどうでしょうか?そこに市民、首長、とりわけ議会の議論水準が現れます。「三鷹ルール」(と呼んでいます)では住民投票権を18歳以上としたり、副市長制を自治法に先駆けて敷いたり、出資団体の業務財務情報開示など自治体経営戦略を明示したり、市教委に学校を軸としたコミニュティづくりを課したりしています。また多摩市では(市民の信託行為により)市議会と市長の「設置」を明示し、自治の基本原則にまちづくりへの市民の参加権を提唱し、条例の実行性を担保する自治推進委員会を設置したりしています。

■国分寺市条例はその前文で『市民自治は・・地方主権を確立するため不可欠であり・・市民が主権者であり、国分寺市は市民の信託により創られてきた』と憲法原理を踏まえた格調高い表現になっており、『目的』で『市民主権を基本とする自治の実現』を謳っている割には(6年間かけて準備したはずですが)市政運営のルールに自治を担保する独自の具体的な仕掛けは見受けられません。

■これで自治基本条例の沿革は多少ご理解いただけたでしょうか?随分遠回りになりましたが、市原質問とその答弁は、市原ブログでのレポートも合わせて要約すると『(自治基本条例の必要性は)市民が中心になったまちづくりのために自治基本条例の果たす役割は重要』『(団体自治・国との関係では)地方分権改革の推進により、下請けとしての地方自治から住民のための地方自治へ転換した。(これを受けて)自治理念・基本原則の明文化、すなわち、自分達のまちのルールを自分達で策定するという趣旨では、自治基本条例制定も1つの選択肢だ』(企画財政部長)との認識を示し、

■市長発言としては『現行の市民参加・市民協働の浸透・着実な歩みの中で、市民の気運が盛り上がれば自ずと次には(市民参加条例を)自治基本条例に移行できる』『仕組みを作ることが重要ではなく、自治基本条例を制定するとなったならば、市民の参加のもとに地に足が着いた使える条例にする必要がある』といったところである。(議事録が出来ていないのでアバウトさはご容赦あれ)

■繰り返すが、これまで市長も議会も一度として(地方政府の憲法)「自治基本条例」に言及してこなかったことからすれば大きな一歩を踏み出したと言える。市原議員に拍手である。後発組だからこそ先進自治体の実験を踏まえたより内容の濃い条例は可能なのであるから遅いスタートを否定的に考えるべきではない。ただし、三鷹市など先進自治体がその準備・制定過程を4~5年程度かけていることを考えたとき、現在策定中の(前期)基本計画(5年)の最終年度あたりを工程表とするしかないであろう。それにしても「地方分権改革による住民自治の拡大」(の制度化としての自治基本条例)に理解を示しながら、今まで自治基本条例を検討してきた形跡もなく「市民の気運が熟せば」では心もとない限りの市長の「市民へのお任せ民主主義」には困ったものである。
2009年09月11日(金)16:08

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