« こまえ地方自治講座(第23回)のご案内 | トップページ | 基本計画答申自己診断(その3) »

2010年2月18日 (木)

基本計画最終答申自己診断(その2)

■昨日届いた愛読書「地方自治職員研修3月号」(公職研)の特集は「議論する組織」であり、一緒に届いた臨時増刊号は「施設マネジメントの再構築」だった。「議論する組織」の特集は昨年10月に公共政策学会と多治見市の開催による「公共政策フォーラム2009 in 多治見」に参加した自治体学会のメンバーの皆さんの「公正な政策形成プロセスにおける議論する組織」への論考集だった。執筆者を代表する多治見市の青山崇氏(会計課々長)はどう言っているでしょうか?以下抜粋ですが、狛江での基本計画(構想)づくりの議論過程に、こんナンデ良かったのか?果たして議論と呼べるものだったのかと自己反省しきりのワタシにとって大いに参考となりました。

■「地方分権の進展とともに、自治体は自己決定・自己責任が求められてくるが、それをスローガンで終わらせないためには、自治体が地域における総合的政策主体へと変革してゆくことが必要であり、その変革のためには、自治体が自らを律する(コントロールする)という理念が必要である。そして、このコントロールは、政策の発想から実行・評価までのプロセスにおいて、どういった『政策主体』がどういった『議論』を行ってきたのかによって明らかにされ、適正なプロセスを経たという『正当性』が政策そのものの『正当性』を高めるというのが筆者の『経験則』である」(‐地域民主主義のツールとしての議論‐)

■「多治見市のフォーラムでは、東京大学の森田朗教授が『これからは、マイナス部分を配分する時代であるが、その合意形成が課題である』と述べている。こうした時代の自治体の政策規範としての総合計画は、右肩上がりの発想による拡大計画は意味をなさなくなってきており、総合計画は政策の取捨選択のツールであるという認識を持つべきであろう。このことは、言うは易いが実行は困難を伴なう。今まで続けてきた施策・事業を計画の名の下に優先順位をつけ、不要不急なものは止めていこうということであり、痛みを伴うものである。しかし、総合計画をそういったものと認識できなければ、財源とリンクした実行性のある計画行政は不可能であろう。(‐総合計画という政策規範における議論の必要性‐)

■「では、議論において必要な要素は何だろうか?それは、情報の公開と共有である。前出のフォーラムにおいて福島大学の今井照教授は『アマ』と『プロ』という言葉でこの課題を指摘しているが『アマ=主権者』と『プロ=その信託を受けて政府を運営している議会・首長とその職員』と表現すると見えてくるものがある。主権者が判断する『材料』としての情報は、プロが圧倒的に持っているのであるから、プロは、アマを意識して情報を公開し、共有するという方向へ絶えずベクトルを向けていることが必要であろう。(市民・企業・行政といったセクター間の議論は、多くの場合言葉さえ通じないようで、あたかも『役所語』と『市民語』という言語で話しているような感がある。そこには通訳が必要となっており、ファシリテーションの重要性が認識される)」(‐議論に不可欠な要素‐)

■長々とかなりまどろっこしい文章を紹介させて頂いたワケですが、こういう自覚を持った自治体官僚(?)が我が狛江市にもいれば、基本構想・基本計画の議論にかくも歯軋りする思いを募らせなくとも良かったかもしれないナンテ思う今日この頃でした。ついでながら冒頭紹介した臨時増刊号のトップ論文は前出の森田朗・東大公共政策大学院教授の『ダウンサイジングの行政計画』でした。私の提案した「小さな行政と(大きな公共)」というキャッチコピーは変更を余儀なくされましたが、森田教授曰く-ダウンサイジングとは機能は落とさず、むしろ向上させつつ必要最小限の規模に縮小することだそうです。何度も言いますがココロザシある職員・議員なら「月刊・地方自治職員研修」は必読書ですね。

■基本計画(基本構想)の自己診断で、言いたいことは山ほどあって整理しきれません。「土曜日の講座」の皆さんの意見も拝聴してさらに深化させたいと思いますが、もし見られていない方がいたらと思い、私からの審議会への意見書を再掲させて頂くところから振り返ってみます。

***********************

基本構想策定のための議論の枠組みについて
(2009年3月11日分科会)
狛江市総合基本計画審議会・市民委員 清水信之
1.構想策定方針について
第2回審議会冒頭でも述べたが、第1回審議会当日に配布された市の策定方針(審議会運営及び策定体制と策定スケジュール)は市民参加のあり方や審議日程など「市民不在・行政主導型」のものである。したがって第2回審議会においてそれを補強すべく「勉強会」や「市民討論会」が日程に追加された。
私は審議会そのものの日程をあと5~6回追加すべきだと思う。それがかなわないのであれば内部議論の「勉強会」(分科会?)を最低でも週1回程度行わないと4月23日最終審議会に間に合わないのではないかと思う。それでも4月23日以前のパブリックコメント手続きは不可能(3月30日第3回審議会で成案がえられるとは思えない)のような気がする。
「市民討論会」(シンポジウム・懇談会)も4月に1回程度では市政の最高指針「まちづくりの憲法」改定の主体である市民の参加プロセスとしては決定的に不充分だと考える。後半に「基本計画」づくりに65名の参加を予定しているといってもあくまで「施策分科会」という各論への参加であり、その前提の理念・柱立て(総論)を市民が共有して初めて生産的な施策レベルの議論が可能となるのだと思う。したがって「6月議会議決そして基本計画審議」ではなく、むしろ基本計画案策定を踏まえて構想の議会上程を考えるべきである。
場合によって、年度内で完結しなければ構想・基本計画に穴が開くなどということは役所の論理であり、あくまで総合計画策定の主体者である市民の参加を最大限担保することが行政の課せられた使命である。
2.現「構想」の検証・総括について
第2回審議会での「検証結果」は行政側の評価コメントに過ぎない。各種指標による検証を含めてあまりにも概括的・部分的で委員が時期構想の課題を充分共有できているとは思えない。例えば狛江市アクションプラン、まちづくり総合プラン、都市計画マスタープラン、緑の基本計画、環境基本計画、地域福祉計画(高齢者・障害者・子育ての各プラン)、商店街振興プラン・農業振興計画、地域防災計画、男女平等推進プラン、等の進捗・達成状況と課題について詳細とまでいかないまでも一定の資料に基づき各論に入った議論をすべきである。僭越ながら、そのためにも各分野からの学職委員が委嘱されているのですから。ちなみに、参考資料の主要行政計画策定状況22件の他にも教育委員会や市議会、市民参加協働政策、平和・国際交流政策、情報化政策等があり、それらについても具体的に検証と課題抽出作業をすべきである。
3.「基本構想の構成」の審議にあたって
私自身は、第1回審議会で基本構想(20年)・基本計画(前期後期各5年)の2層構造ではなく10年スパンの「総合計画」とする方が時代の変化に対応できると述べた。そうすることで事実上、基本計画部分まで議会の議決範囲とし、「構想」への正統性がより担保されると考えた。そのことは棚上げするとして、行政の構成案はほぼ前例踏襲型であり、現状への危機感と力強く狛江の将来を切り開く意欲を持った検討の跡は感じられない。これではこの20年間がそうであったように、策定しても「お蔵入り」となる危機感を感ずる。
「市民に分かりやすく」「成果管理しやすい構成」はそのとおりだが、そのために各自治体も工夫を凝らしている。私は他市の事例に学びヒントを得た。三鷹市や中野区、多治見市、北海道栗山町などである。それらの検討の機会もいただきたい。
4.各論「基本理念」(まちづくりの原則)
次に「基本理念」部分だが、狛江の「まちづくりの原則」という表現自体がハードの都市空間整備に傾いた印象を与えるし、そもそも「まちづくり」とは狛江市という自治体・法人格を持つ団体が行うのみがまちづくりではなく、地域の民間企業、自治会、任意団体等多様な主体を含めて行う公益的活動総体を指すと云われている。
この「まちづくりの原則」(4項目)の主体・主語が分かりにくく、狛江市(行政)と狛江市民の関係(役割)が見えないのできれいな表現だけど印象に残らない。また「・・・都市をめざす」と結語する文章は「将来都市像」と重複しているので余計インパクトが薄い。
対案だが、狛江市民が普遍的に共有できる理念を分かりやすく、主語を市民として表現できないか、例えば『狛江市民のねがい』『狛江市民の理想(目標)』のようなタイトルとし、その市民の共通目標(理念)とそれを踏まえた「将来像」は、これを忠実に実行しなければならない狛江市の市政運営の基本指針でもあると言う関係(基本構想という約束事を課す主体は市民であり、市民が行政を縛る信託関係)がにじみ出る構成とする。
とは言え、短い期間で狛江市民独自の「普遍的な理念」を共有することは簡単ではない。国の憲法理念や自治法など(平和・人権・自治)から抽出する方法もあるが、現在までの狛江市の公定化されている「市民参加・協働条例」や「まちづくり条例」などの理念を踏まえて作文することも考えられる。
5.「都市将来像」について
この部分は、総括・検証作業に踏まえなければ見えてこないが、どこの自治体でも人口減少・財政縮小時代への突入と地方分権による「地方政府」としての自立という課題が先ず大前提となる。そのため行政評価制度などを踏まえた行財政改革は強く意識せざるをえない。そこで自治体経営への視点、本構想・基本計画を含めた「計画行政」の視点、「新しい公共(空間)」と呼ばれる市民協働・民間との役割分担の視点などから「地域政府・地方政府」の「かたち」を構想しなければならない。
さらに団体自治だけでなく住民自治の姿も「自治のかたち」として踏まえなければならない。自治体の憲法と呼ばれる「自治(体)基本条例」「議会基本条例」といった取り組みが多くの自治体で進められている。私がモデルとしたいのは「多治見市市政基本条例」だがこの辺の議論も不可欠であろうと考える。
その他の各論で特に産業振興の分野は難しいがなんとしても芽だしをすべきである。前にも言ったが地場経済や中心市街地を持たず「ベットタウン」では自立「都市」ではないし、合併の嵐に飲み込まれてしまうのではないかという危機感がある。その他の各論は後日とする。
6.その他
3月17日を最終回として公共施設再編計画成案が出てくる。財政を意識し、選択と集中に

よる長期施設計画であり、公共サービスのあり方にも影響がある。直近の市民参加による

検討結果だけに充分たたき台とすべきである。

************************

議論の枠組みについての意見・その2 (3月30日第3回審議会)清水信之
すでに3月11日の第1回懇談会(勉強会)にて提出した意見書でも述べたが、差し迫ったスケジュールの現在、再度各委員の修正補強意見を踏まえて、必要最低限の議論として以下必要な項目を示す。
1、群馬「たまゆら火災」事件で浮かび上がった「介護難民」問題の狛江市での検証(1人暮らし高齢者・特養ホーム待機者・生活保護の高齢者などの実態)と将来の医療・施設問題、財源問題の予測など高齢者福祉の将来像の議論。
2、狛江ブランド?の緑に関して、緑地(農地・屋敷林など)の消失の見通し、生産緑地の買取申請の将来動向とそれへの対応問題などをしっかり把握して「緑」を語るべきではないか。
3、高齢化に伴い移動困難者の増大とコミニティバスやSTSなど福祉交通の対応等将来の地域交通政策のあり方、サイクルシティづくりなどの可能性の議論。
4、「公共施設再編方針」は「基本構想に反映させる」となっている。「報告書」の提起している視点は何か、そこには財政認識・公共サービスの優先順位など共有すべき内容があると考える。
5、基本構想に長期財政予測が欠かせない時代となった。S委員の提案は大賛成である。その長期財政予測を行政は示すべきである。
6、事務局案では「自治」「行財政」を後方に下げた。私(たち)の発想では第一級の課題と考える。そもそも「参加・協働」のステージアップを考えたとき先進自治体の「自治基本条例」への取り組みを議論から外せない。自治基本条例とは何かの議論を踏まえないで「自治のまち」は語れない。
7、そもそも「まちづくりの憲法」の策定主体は市民である。それが自治のカタチでありルールである。繰り返し述べているように、このままでは「行政主導・市民不在」の基本構想となり、市民議論がなければ誰も顧みない「お飾り・お蔵入り」の構想になる。策定スケジュール期間の大幅延長か、あるいは基本計画策定後に最終調整し上程すべきである。

**********************

第3回審議会・資料1の「基本構想・事務局案」に対する意見
平成21年4月1日 市民委員・清水信之
■私の「構想」づくりへの考え方は「基本構想策定のための議論の枠組み」(3月11日懇談会)と先日3月30日にも追加の「議論の枠組みについての意見・その2」で表明したところである。30日審議会で企画財政部長から「6月議会上程に必ずしもこだわらない」旨の発言を踏まえて、審議会としては「基本計画づくりと平行して」か「基本計画づくりの後、基本構想へフィードバック」などの意見が出てきたことは半歩前進だが、依然として「フォーラムも計画したので、日程等もあり」の理由から事実上棚上げされてままである。こうした現状で構想案の文案作成作業に入ること事態が土台乱暴であり無理なのである。
■第2回懇談会(3月19日)に出された事務局タタキ台案に対して、各委員から修正・補強意見が寄せられた。私はまだ無理(議論未成熟)とは思ったが、文章化された各委員の見解をもとに本質的な議論に昇華させられればと考えたが、「それらを調整した事務局案」が出てしまい結局議論の糸口を封殺させられた。私の想いを込めた補強・修正案に対してもほぼなんのコメントもなく黙殺されたままである。従って再度の修正・補強意見を提出するつもりになれない。
■従って、市民フォーラム用とも言えるドタバタの事務局案を「中間報告・第一次構想案」として提案・発表すること自体に(一人歩きする危険もあり)責任が持てないし反対する。反対意見があったそのことは発表する際明らかにされたし。

**********************

|

« こまえ地方自治講座(第23回)のご案内 | トップページ | 基本計画答申自己診断(その3) »

狛江市総合基本計画」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 基本計画最終答申自己診断(その2):

« こまえ地方自治講座(第23回)のご案内 | トップページ | 基本計画答申自己診断(その3) »