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2010年5月

2010年5月30日 (日)

意外と面白かった市議会出前講座

■5月28日(金)夜、中央公民館で「地方自治講座」に市議会初の出前講座が行われました。講師は議会事務局次長と議事庶務係長のお二人で、8名が受講しました。テーマは「狛江市議会の概要(狛江市議会のしくみと活動)」といういわば“初級編”の基礎的な制度を学ぶ内容でした。と言うのも議会事務局職員という立場上、議会改革論など議論中の内容には触れにくく、現状を説明すること以上はコメントできにくいといった制約があるからでした。当日の資料としては「狛江市の概要・議会運営」(22年度版・視察用)「市議会だより」「議事日程表」などでした。

■ホントなら議会改革論を巡って議会側と市民が丁々発止のキャッチボールができるようなステージが欲しいのです。だから、ひょっとしたら一方的な現状肯定のつまらない講座になることもちょっぴり危惧していたのですが、意外にも結構盛り上がったハナシになりましたよ。というのも講師陣が初の出前講座ということもあって、当日オリジナルなレジュメを準備するなど結構力が入っていたからでした。そのレジュメは「議会のしくみ」「議会の権限」「議会の活動」「会議における諸原則」という基本的な制度理解を憲法・地方自治法、狛江市議会会議規則などに踏まえて分かりやすく説明するものでした。

■「議会のしくみ」では狛江市議会の前身である狛江村議会の明治22年当時の議事録が残っていて、当時は議長イコール村長という「議員内閣制」だった(しかも村長就任には、当時の神奈川県知事の許可が必要だった)などといったエピソードを交えて、今日の二元代表制を説明したり、「議決機関である議会が頭で執行機関である行政は胴体である」といった表現を紹介したりしてなかなか興味深かったし、「議会の権限」では首長との権限配分の説明に、マスコミを賑わしている鹿児島県阿久根市長と市議会の対立劇を例にとって説明したりで、これも面白かったし議会を市民に分かりやすく説明する苦心のあとが見られましたね。

■その後「議会の活動」では6月議会の議事日程などを例にとって、例の航空計器跡のマンション紛争で20件もの陳情が提出されたことやら、議会ホームページの見方やら、現在の第4次議会改革小委員会が調布市議会で始まったインターネット中継の視察を行ったことなど議会の活動の具体例の紹介がありました。

■そんなレクチャーの後は質疑応答の時間でした。さっそく「一部事務組合議会」と狛江市議会の関係とか、三多摩の市議会での公開度(傍聴や議事録公開)への質問には、「全員協議会」を公開しているのが6市議会であり、さらに「会派代表者会議」まで公開しているのがその内2市議会であり、両方共未公開なのが狛江市議会を含めて13市議会だ(平成22年2月時点)などの紹介があったり、年4回の「定例会」の間がほぼ二ヶ月間あるけど、その間議員としての活動は何をしているの?っていう素朴で本質的な質問が出て、果ては議員の報酬って生活給なの?議員は職業?それとも矢祭町のように日給制のボランティアっていうのもアリなの?とハナシは止まらず、さすがに講師は(個人的な感想ながら)、議員立候補の平等性(資産家でなくとも議員生活が可能となる一定の水準の給料が必要)を担保する意味で現在の40~50万円の月給の意味を説明していましたよ。

■概略そんな2時間でしたが、議会事務局としても議会のしくみやあり方を市民に説明責任を果し、また積極的にPRし議会傍聴などにつなげてゆく手掛かりの一つに「学び講座」を積極的に進めたい旨のコメント(こちらの思い込み?)があり、受講した側からもさらに第二弾の講座では「議会改革」に踏み込んだ内容を期待したいとお願いしてこの日は終了しました。次長さん・係長さんにはご苦労様でした。

■なお、次のこまえ自治講座には多摩市議会基本条例の制定に尽力された「岩永ひさか市議」をお招きして、3月制定後の施行直前に迫った多摩市議会の改革の最新情報などをお聞きしたいですねとなりました。現在彼女に接触中ですので乞うご期待。

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2010年5月 9日 (日)

「二元代表制の呪縛」と「公選首長廃止論」

■土曜日(5月8日)の地方自治講座には9名の方がご参加いただきました。当日の資料は全て総務省HPの「地方行財政検討会議」(以前の地方制度調査会に相当?)からですが、①地域主権戦略の工程表(案)【原口プラン】 ②「議会と長の関係に係る見直しに関する視点(案)」 ③橋下徹・大阪府知事提案「地域主権確立のための改革提案~地方政府基本法制定に向けて~」(議会内閣制の項抜粋) ④「諸外国及び過去の日本の基礎自治体における執行機関と議決機関との関係」などでした。テーマが「自治体『内閣制』の是非」と少し大きすぎたので、頭の体操になったかどうか分かりませんが、視野の広い議論と同時に狛江市議会のココがおかしいよねというローカルな改革論が交差した2時間半でした。

■さて本題の橋下提案(内閣府の地方主権戦略会議構成員)ですが、「議会内閣制」のイメージは割りと分かり易い。議会推薦の議員を副市長や○○部長(取締役?)といった“内閣構成員”に政治任用する。そのため議員の自治体職員との兼職禁止規定(自治法)を廃止し、選挙制度を首長と議員の任期を統一する。といったものでして、“首長と地方議会が協働し、責任を共有する”という主旨そのままですよね。しかし、これって、そもそもの「二元代表制」(機関対立主義)と言ってきた戦後日本の地方自治制度の破壊?解体ではないか、議会を執行機関に取り込んでしまう(機関融合主義)ことで首長独裁政治が起きないか?といった批判もあるけどがドー考えたら良いのでしょうかねと参加者に振ってみました。

■そこでのご意見では「そもそもごく一般の市民からしてみたら、国の制度(議員内閣制)と地方自治体の政府形態が違うこと自体が分かりにくいし、『ニゲンダイヒョウセイ』なんて言葉自体ほとんど理解できていませんよね、どっちでも良いから民意がしっかり反映される地方自治の制度にしてよと考えているのではないでしょうか」「橋下知事や河村たかし名古屋市長や鹿児島の阿久根市長が圧倒的な支持を受けているのは、議会との全面対決を通じて、抵抗勢力?無用の長物と化している?地方議会という制度が白日の下にさらされ、そこを含めての改革論のダイナミズムが市民の共感を呼んでいる点にあるのではないでしょうか」など総じて橋下提案への賛成意見が当日の講座では勝っていました。ウーム・・・分権改革の象徴(目玉)こそ議会改革にありとの議論が表に出てきたことは大いに歓迎ナンですがね・・・。

■かってワタシは「地方議会解体論」という(自虐的な)小論文を市民新聞に投稿したことは前にも書きましたが、そもそも資料④の「地方自治制度の諸外国比較」(仏・英・伊・独・米・スエーデン・韓)を見ても、「二元代表制」は韓国だけで極少数派という問題に加えて、資料②でも「現行制度は長の側に明らかに権限過剰であり、世上いわれる抑止均衡とはなっていない点である。これは日本の地方制度が出発点から地方議会の根幹制を認めず、終始脇役の地位に置いてきた結果であり、二元代表制の原理から逸脱する長の側の権限過剰がまかりとおってきたといえる」(平成18年第二次地方(町村)議会活性化研究会)という引用がありましたが、ワタシも「脇役の地方議会」という指摘こそ本質的な問題と深く自覚させられた覚えのある論文でした。

■その「活性化研究会」の委員長の佐藤竺・成蹊大名誉教授と共に報告書作成に加わった今村都南雄・中央大教授も、これまで「二元代表制の呪縛」に囚われてきたと言っています。「そもそも民主的な自治の仕組みを構想する上で、長と議会のいずれかがより本質的な位置を占めるのかを考えてみるならば、それは議会の側ではないだろうか、民主的な自治にとっては、公選の長は必ずしもなくても良い存在ではないか、こういうことになります。憲法が長の公選制を規定し、また自治法の147条が首長主義をとっていることを考えますと、この言い方は一見穏やかではなく感じられると思います。しかし、二元代表制の枠組みとらわれず、議員内閣制やシティマネージャー制、あるいは委員会制など、世界の主要国で現に採用されている仕組みを考え合わせるならば、それらにおいて公選の長はすべて不用となりますから、民主的自治にとって必ずしも公選の長は必要ないとの主張もさほど危険な思想にあたらないと考えられます」(平成18年・市民と議員の条例づくり交流会議)

■今村と共に行政学(地方自治)の権威である大森彌・東大名誉教授(元都道府県議会制度研究会座長)も同様に「執行部優位の二元的代表制」を問題とし、さらに過激に迫っています。

「二元的代表制を言い始めたのは、おそらく北海学園大学の神原勝さんが最初です。すでに十数年前の大学センター試験にも出され、高等学校の公民でも教えられているはずなので、すでに定着したものとは思っておりますが、あにはからんや、首長も議員も二元的代表制など聞いたこともないと言う人がまだ多数でしょう。したがって二元的代表制とは、「二元代表制を前提とする」との今村先生の発言とは異なり、「実現されるべきもの」だと私は考えています。ただし、明治以来、圧倒的に執行部優位の体制であるという点については、私と今村さんの認識は一致しています。「執行部優位の」と形容詞のついた二元的代表制の改革を本格的に考えるならば、その道筋の一つに首長公選制の廃止、つまり議長が首長となり、議員が行政を直接コントロールするしくみをつくる議会制の道は、明白にあり得ると私も思っています。しかし、もうしばらくはこの二元的代表制の枠組のなかで、改革できることを改革すべきだ。その上でなおかつ、新しい政治の形態を住民が選択するという道があり得るだろうと考えています。実はこのところ私は、議会を少々活性化、強化したところで、日本には地域のデモクラシーは実現しないのではないかと思い始めています。ガンなのは首長公選制ではないか。しかし、これを大合唱した途端に軽薄な学者が集まったとなると困るので、もう少し地に足ついた議論をすべきでないかと思っています」(同交流会議)

■さて、ワタシ的にも明治以来の官治集権政治(松下圭一)に根っこがあるインチキな(擬制の)二元代表制の呪縛を超えて、原則論から言えば議会優先論であるべきと考えますので「強(力)首長制」に変則議員内閣制をドッキングさせた橋下案というより、むしろ「純粋(?)議員内閣制」(首長制廃止論)こそ地方自治の政府形態であるべきだと思います。ただし、議会改革の遅れゆえに圧倒的な世論が首長制偏重に傾いている(ともかく市長を変えなけりゃ云々)現実にどこまで切り込んでいけるかですよね。

■そこで次の5月28日にはその議会から出前講座を受けます。ただし議会事務局職員による狛江市議会の基本的な仕組みについての講義です。ところで議会事務局職員って首長の人事権の下に置かれている(?)けど、「行政府」に対して(それを牽制する)「立法府」の議会事務局人事が行政に握られていることって、結局馴れ合い(行政優位)にならないのかなあ?という鋭い疑問が出されたりしましたがこれってまさにインチキ二元代表制の本質にかかわるハナシでもありますよね。「頭の体操」の効果が徐々に出てくれば講座の床屋政談もムダではないですよね。それではまた。


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2010年5月 1日 (土)

こまえ地方自治講座のご案内(5月連続講座)

■第25回講座「自治体『内閣制』ってナンだろう?」
鳩山政権が掲げる「地域主権改革」を進める「地方行財政検討会議」(議長・原口一博総務相)は来年3月をメドに地方自治法を抜本改正し、「地方政府基本法」を策定する予定ですが、この中で浮上してきたのが、都道府県や市町村に内閣型の地方政府を設置できるようにしようという考え方(議員の一部を副市長や幹部職員に任用するなど)です。
この背景には、河村たかし・名古屋市長や橋下徹・大阪府知事等に代表される首長側からの現行二元代表制の議会の有効性に疑問とする(抵抗勢力、足手まとい?)地方主権改革論があり、橋下提案の「議会内閣制」は英国の「「公選首長・内閣制」をモデルにしているとのことです。そもそも「二元代表制」という地方政府のあり方については世界では小数派であり、シティーマネージャー制など選択できるよう自治法を改正しようといった声(穂坂邦夫志木市長など)は以前からありましたが、一方で機能不全状態の議会(二元代表制)を「自由に討議する議会、市民も参加できる議会、積極的に情報を公開する議会」として議会基本条例制定などで改革し、その役割の復権を目指す議会関係者、学者達からは「首長専制を許す」として猛反発も出ています。
さて、地方主権改革を巡っての首長(主導の改革論)と議会(改革論)の対立のようにも見えますが、さて皆様、どう考えたら良いとお思いでしょうか?地方自治制度の国際比較や、そもそも議会とはなど、出来るだけ頭を柔らかくして考えてみましょう。

■第26回講座「『狛江市議会のしくみ』を見てみよう。」
4月の「多摩市議会基本条例」学習を受けて、議会改革とは何か、そして狛江市議会の改革に市民側からどうアプローチできるか?その手掛かりを掴むためにも、先ずは狛江市議会の現状と課題を理解するところから始めましょうというワケで、市議会事務局へ要請したところ、これまで行政が実施している「まなび講座」(出前講座)に「狛江市議会の概要(しくみと活動)」という講座を新たに開設し、市議会としての市民への情報提供の窓口を作っていただきました。
この「まなび講座」開設は、開かれた狛江市議会へのほんの一歩ですが、公開性を高め、「市民参加」を拡大し、自由討議で調整機能を高めて、力強い議会とする改革が進まなければ議会不要論を打ち破ることはできません。当日は議会事務局の職員による講義となるワケですが、次のステップとして議長や議会運営委員会(議会改革小委員会)自身が市民との対話をできるように提案してみたいですね。

―第25回地方自治講座「自治体内閣制ってナンだろう?」―
■5月8日(土)午前9時半~12時
■中央公民館 第1会議室

―第26回地方自治講座「狛江市議会の概要」
■5月28日(金)午後6時半~8時半
■中央公民館 第2会議室

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