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2010年6月29日 (火)

「私たちのまちの議会」があっていい!(続・講座報告)

■さて、安藤邦彦委員長(公明幹事長)・岩永ひさか副委員長のリーダーシップによって実現した多摩市議会基本条例による改革議会の実際の姿は、9月施行までに詰められる「運用規定」を待たなければならないけど、基本的に元祖・栗山町議会条例を始め100を越える先発組の議会条例とリンクしていることは以前の講座で学習した。

■この辺のことについて「多摩市議会ウオッチングの会」代表の神津さんから辛口コメントがあった。すでに(骨抜きの)「アクセサリー条例」(福嶋浩彦前我孫子市長)との評価もあると。続けて「(多摩市)自治基本条例も市民参加は(アリバイづくりで)形骸化している現実がある。だからこそ議会に多様な民意を汲み取る機能が求められているのだが、当初の市民の期待する改革論からはかなり後退したものになりそうと心配していた。

■その点、岩永さん自身も率直に認めていて、例えば「議会報告会(意見交換会)条項」でも「出来る規定」でなく、具体的に「年○回以上開催しなければならない」など実行性を担保する条文までにはならなかったこと、あるいは「市民からの政策提案条項」も従来からの「陳情」審査以外に「市民は政策提案を提出できる」とあり、「委員長は必要に応じて市民の発言(提案等)を許可できる」とあるが、当初の議論では本会議上での市民発言も開放すべきなどの意見もあったが「委員会への市民参画」に留まったこと、「自由討議条項」においても、やはり本会議場ではなく「原則として委員会活動を中心に議員間討議」へと落ち着いたことなど、全会一致への調整過程でハードルを下げざるを得なかったことが見て取れる。

■ちなみに狛江市議会では陳情審査は書面重視で陳情者の意見開陳の機会はない、かっては意見を聞くこともあったがあくまで「休憩中」のオフレコ発言どまりだったが、それすらも今は実施していない。多摩市の「議会への市民参画」は、従来の「陳情」審査手続きとどう違うのか、「市民3分間スピーチ」は担保されるのか?9月の多摩市議会が待たれるところである。

■多摩市議会が全国的に注目を集めている改革に、数年前から実験を繰り返してきたものだが、決算審査に議会独自の事業(政策)評価システム(議会の評価)を導入し「決算・予算の連動」を実現し、各会派のブンドリ合戦ではない議会としての予算編成への責任ある介入を試みている点があり、もちろんそのことは条例上も「二元代表制の一翼を担い責任を果す議会」(第4章)の目玉になっている。

■しかし、一方で第4章(市長と議会の関係・権限配分)の「議決事項の追加」では「追加できる」とのみとし、あえて具体的に「総合計画・都市マスタープラン等」への議会関与に踏み込まなかったのは、基本計画等の決定に関与するとその後の政策議論が窮屈になるとの慎重論が浮上したことによるらしい。ウーム予算に責任を持つ多摩市議会がナゼそうなるのかよく分からなかった。(政策評価(議会評価)はPDCAサイクルとして完結するはずであり、プランに関与せずとは?)

■市民に中途半端な(アリバイ)参加させ、その実、行政主導の前例踏襲型お飾り総合計画(その結果の放漫財政)づくりだった狛江市の苦い体験からすれば議会でこそ総合計画の議決権を奪い取って責任ある審議をすべきであり、(犬の遠吠えの)チェック機能で良しとするなら議会は官僚の手の平である。ところで、議会ボランティア論(職業議員はいらない)の河村たかし(名古屋市長)が議会の反撃に会い、総合計画の「議決事項追加」議決をしたところ「市長のマニフェストを縛る議会の暴力だ!」と叫んだエピソードがあるが、これってまさに首長VS議会の権力闘争ナンですよね。

■その首長と議会の権限関係は元々圧倒的な首長の権限過剰(佐藤竺・成蹊名誉大教授)であって、「二元代表制」「車の両輪」諭は議員バッチのごとくお飾りでしかないのが現実であり、「トホホ日記」の由縁ナノだけど、さて次に、助言者の石井さんの指摘を断片的ながら紹介したい。「間違っている市民の定義」として、多摩市自治基本条例を踏襲した多摩市議会基本条例も同様の誤りを犯していると批判する。

■石井さんは言う、まったくもってイヤらしい「請願・陳情」なる自治法上の言葉に象徴されるように、2000年分権一括法を経てもなお、明治以来の「中央集権国家の行政統治のための地方自治法」の本質は残っている。(だから地方政府基本法が必要)確かに国の下請けから対等な政府間関係となったといわれる2000年改革がもたらしたものが自治体の憲法「自治基本条例」であるが、元祖ニセコ町が「まちづくり基本条例」と命名したことから、誤解を生み、ハードのまちづくり条例とごっちゃになっている。約150自治体が制定済みだがその9割ほどが「市民」の定義に「通勤者・通学者」や「NPO・企業」まで含めているが、大間違いという。

■なぜなら、憲法とは「政府に対して、国民の権利を守り、憲法に定めた統治の仕組みと運営にしたがって国政をつかさどるよう命令するもの」(立憲主義)であり、「主権者である住民が代理機構である自治体政府への信託事項を明示するもの」(松下圭一・二重信託論)が自治基本条例なのである。市民の定義論争は昨年末議決された「小平市自治基本条例」でもあった。(小平市では「市民=住民」とした)初めの一歩の主権者規定を間違うと信託関係も曖昧になるから問題だ。(信託条項の一覧表の作成主体・憲法制定権)

■「住民は自治体政府(首長・議会)に政治を信託するわけですが、丸投げするわけではない」あくまで「主権者である住民の意思によって定められた自治体運営のルールに従って、政治をするよう命令する関係」(石井)となれば、首長と議会の権限配分や議会のかたち(定数・報酬)や市民(住民)の政策決定過程への関与(参加)の手続きのあり方などすべてのこれまでの自治体の制度設計を市民が根本から見直すことが可能となるのです。となれば繰り返すが、今の強力首長型とするか、議会こそ民主主義の中心であり、二元代表制を実質化するとするかは正に市民の選択に委ねられていることになる。

■岩永さんが最後に「2年半の議会条例をめぐる議会内、市民とのキャッチボールを経て議員の意識は確実に変わった」と言ったように、「自治基本条例(議会基本条例)」制定作業は市民の主権者として成熟過程であり、また首長・行政職員や議員の意識を大きく変える行程となることは間違いない。後発組だから先発組の不足を補うことを含めてよりバージョンアップできる可能性もあるし、多摩市議会は多摩市議会の流儀があるように、狛江の市議会も狛江流があって良い。「私たちがつくる・・・」(基本構想)のだから。

■余り整理できなかったけど、とりあえずの続編を終わる。次のステージは「狛江市自治基本条例(議会基本条例)草案づくり検討会」の立ち上げに移りたい。7月15日(木)夜間の日程を中心に調整中です。乞うご期待下さい。


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