« 2010年10月 | トップページ | 2010年12月 »

2010年11月

2010年11月26日 (金)

続「直アパ」VS「貧困ビジネス」

■ナゼ「直アパ」にこだわるかですが、直接的な理由は「無料低額宿泊所」なるものの実態にかかわります。「無料低額宿泊所」の実態は東京都に届けられているもので平成21年度10月現在175箇所、その定員は5,428名と福祉保健局生活保護課のHPから知ることができます。東京都で1990年代までは20カ所程度で推移していたが、1999年以降、急激に新規開設が増えてきたといわれています。175箇所の施設名・住所等も一覧表になっています。

■狛江市内では「狛江荘・和泉本町2-25-5・定員20名」の一箇所です。この「狛江荘」(民間住宅借り上げと見られる)は都内で最大の組織「特定非営利活動法人エスエスエス」(区部52箇所、三多摩24箇所)が経営する施設のひとつです。その「狛江荘」に入居した経験を持つ方がこまえ派遣村には2名いますが、他にも「グッドライフ調布寮(定員63名)」や国立市の「さくら国立ハウス(定員27名)」などへの入居歴を持つ方がいます。

■その方々のお話を聞くと一様に「個室でないため、プライバシーが守られない、いざこざが起きる」「食事がまずい」「禁酒・門限など自由がない」などであり、実際に私達スタッフがある方の引っ越し作業のため見学できた「さくら国立ハウス」の4人部屋はおよそ10畳の空間にバス・トイレと仕切りのカーテンすらないベットが並んでいる状況でした。「エーッこれで住居費4万円を取るのかよ?」が率直な感想でした。

■さくらハウスの場合、ざっくりですが住居費4万円・食費5万円・水光熱費1万円ですから約12万円の保護費の残金は2万円というのが普通のパターンです。すでにマスコミで「ピンハネ」と問題視された一般的な「無料低額宿泊所」のケースと同じですが狛江荘もグッドライフもほぼ同じ実態です。

■さてこのような施設と生活保護行政の関係ですが、市原広子市議の質問(22年9月)への答弁では「他の県のようないわゆる貧困ビジネスというものは確認しておりません」としており、その理由として東京都が適正な施設運営のための「指導指針」を策定し、適時指導検査を実施したり、市のケースワーカーの訪問調査(年2回)もやっているからと言っています。オイオイ、少なくとも「さくらハウス」に送られた方は1年以上居たが一度もケースワーカーの訪問はなかったと言っている。(地元の「狛江荘」に居た方ですら訪問は受けなかったという)

■さて、なぜアパート入居でなく施設送りなのでしょうかの疑問への答えの一つが、実は「一年以上訪問調査していない」という実態と関係あるのではないかと思います。つまり送り込んでおけば施設側が適当(適切?)に管理してくれるので、ますます過重になっている(1人で100件近くもの被保護者を担当する)ケースワーカーの仕事が助かる(サボれる)のではないかと私は推測する。イヤそこじゃなくて保護費の抑制という財政上の理由じゃないのっていう方もいます。同じ市原質問への答弁で「宿泊所での生活となりますと、法律により都費負担対象ケースとなり、国が4分の3、東京都が4分の1を負担することになります」つまり市の負担を少しでも軽くするため施設送りが至上命令となっていた(る)だというのです。

■また長くなるので、「直アパ」の論理を一度整理します。基本に立ち返りますが、生活保護法30条は「生活扶助は、被保護者の居宅において行うものとする。ただし、これによることができないとき、これによって保護の目的を達しがたいとき、又は被保護者が希望したときは、被保護者を救護施設、厚生施設若しくはその他適当な施設に入所させ、若しくはこれらの施設に入所を委託し、又は私人の家庭に擁護を委託して行うことができる。 2 前項ただし書きの規定は、被保護者の意に反して、入所又は養護を強制することができるものと解釈してはならない。」とあります。

■また、最近の貧困ビジネス問題を重視した厚労省は、全国調査(平成21年7月)を実施し「不適切な事案が見受けられた」とした「厚労省社会援護局保護課」の平成21年10月の通知で「①訪問調査の徹底及び劣悪な住環境にある場合の転居支援 ②消防署が行う防火安全対策への協力 ③未届け施設に関する関係部局との連携 ④生活保護費の本人への直接交付の徹底 ⑤無料低額宿泊施設の収支状況の公開の徹底」を各自治体へ要請したとあり、これを受けて「平成22年生活保護実施要領」も改訂されているとされています。

■当然ですが、被(要)保護者の意思に反して施設送りをしてはならないのです。しかし今も同行者(派遣村等)のいない福祉事務所の面会室の実態はどうでしょうか?つい数日前も、数ヶ月多摩川周辺で野宿した後、アパート入居を希望し、狛江市に生活保護申請に出向いたが「施設に入るのが条件です」と言われ、保護申請自体を諦め帰って来たという方から電話をいただきました。ナゼ施設送りかについては、実はまだケースワーカーさん達と論争があります。「自立させるために施設入所なのだ」と言うのです。

■生活保護法第1条「この法律は、日本国憲法第25条に規定する理念に基き、国が生活に困窮するすべての国民に対し、その困窮の程度に応じ、必要な保護を行い、その最低限度の生活を保障するとともに、その自立を助長することを目的とする」の「自立」を促すことや、同4条「・・能力その他あらゆるものを、その最低限度の生活の維持のために活用することを要件として・・」つまり働ける者は就労の努力が前提ですよといったことに関る問題です。狛江の「自立支援プログラム」などについて次に書きたいと思います。


| | コメント (0) | トラックバック (0)

2010年11月18日 (木)

「直アパ」VS「貧困ビジネス」

■9月27日「こまえ派遣村からバザー用品ご寄付のお願い」とする記事を載せて、「こまえ派遣村」の活動を初めてご紹介しました。報告が遅くなりましたが、市民10名の方から物資提供を得て11月7日(日)には予定通り「こまえ楽市」(市役所前広場)への出店ができ、24,411円の売り上げ純益がありました。なおこの使途としては会議費、通信費、緊急生活資金など「派遣村」の運営に充当させていただく事となりました。

■当日は当事者5名と支援スタッフ4名により8時半からの搬入、閉店3時までの販売活動、後の片付けなどそれぞれ分担しあいながら無事初体験のフリーマーケットを終えました。今後の「楽市」参加ですが、次回12月5日以降の出店もバザー用品が集まり次第実施したいと考えています。

■なお当派遣村では、寒さと年末が近づく中で、12月25日(土)~26日(日)には「年末大相談会」が府中市を中心として企画されており、こまえ派遣村も参加を予定しております。また、すでに数名の路上生活者の方から問い合わせがありますが、それらの方々の生活保護申請同行・アパート入居の支援を継続しながら、中長期的には、仕事づくり・居場所づくり等の自立支援ネットワーク化を目指して行政や地域の社会資源へ働きかけを強めていくことになるかと思います。

■さて、こまえ派遣村の存在理由・活動の根拠についてそろそろお伝えする時期かと思い自説を整理しておきたいと考えます。9月27日ブログでも少し書きましたが、それを端的に表現する言葉が「直アパ」(チョクアパ)です。これはもちろん狛江が発信源ではなく「府中緊急派遣村」(09年3月発足)の松野村長からの受け売りです。言葉のとおり、アパートへの入居を前提にした生活保護決定を「闘い取る」という意気込みを表しています。

■色々な原因で路上に放り出された方へのセーフティネットの最大のものが「住い」であることから生活保護費に「住宅扶助費」があり、家賃の比較的高い東京では月額53,700円(さらに敷金等)が支給される制度があることを考えたら、何故「闘い取らねば」ならないのか?不思議に思いませんか?この疑問を解く鍵が「無料低額宿泊所」という「施設」の存在です。

■「無料低額宿泊所」ってナニの前に、知っておかねばならない08年~09年の年末年始、全国民を驚かせた「日比谷公園派遣村」事件以前は「ホームレス・路上生活者」の方々の行く先は主に「緊急保護センター」への「収容」であり、その後まれに生活保護を申請した場合の行く先の多くがこの「無料低額宿泊所」だったのです。「まれに」と書いたのは「そもそもホームレスなど「住民登録」のない者は生活保護は受けられない」というウソのような現実が横行していたし、現に今でもそうした「福祉事務所の水際作戦」は無くなっていない。

■ナゼ「直アパ」なんてスローガンが出てくるか?に戻りますが、「NPO法人自立生活支援センター・もやい」(湯浅誠さんが副理事長)や「府中緊急派遣村」などが重いドアを開けた「直アパ」の対語と言えば「貧困ビジネス」と言えるかと思います。そうですマスコミを賑わした「ホームレス・生保行政を喰い物にする貧困ビジネス」の最たるものが「無料低額宿泊所」という施設経営なのです。

■長くなるので続編は又にしますが、福祉行政はホームレス状態の生保申請者を必ずこの無料低額宿泊所(他に厚生施設など類似施設もありますが)に送り込むことがシステム化していた(る)のです。さてその施設の実態や、ナゼ(またまたナゼですが)同じ住宅扶助費(約5万円)を支給するのに本人が希望してもアパート入居は厳として拒絶してきた生保行政の背後にナニがあるのか?そこに送り込まれた恨みの陰口で「ケースワーカーは施設側から袖の下でもあるのでは」という声すら聞くこの現実をどう理解したら良いのでしょうか?続きは又・・・。

■忘れましたが、トンでもない劣化状況にある「最後のセーフティネット・生活保護」行政を含めて自治体行政をどう統制し、リニュアルするかという「自治基本条例」のための公民館講座第2回「住民自治・地域主権を考える」(池上洋通)が明日19日夜7時から中央公民館でありますのでこちらも是非ご参加下さい。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2010年11月12日 (金)

責任回避・機能不全の市教委

■尖閣ビデオ流出を巡って朝日の「耕論」(11月12日)は正に多面的な議論で面白かった。特に「同情にも称賛にも値しない」とする佐藤優(元外務省)は相変わらずの切れ味である。また「知る権利」(長谷部恭男)とは何か、ネット時代の「情報ガバナンス」(鈴木謙介)という政府機能についてもあらためて考えさせられた。

■地方自治体から始まった「情報公開」、そして「市民参加」は2000年地方分権法によって加速したかに見えるものの、そこから10年、今「地方政府の時代」を意識化するときそれらのツールは明らかに色あせて見える。自治体の憲法=自治基本条例制定が問われる所以である。事情があり参加できなかった「自治体憲法を考える公民館連続講座(狛江市中央公民館)」も11月5日第1回が約40名で始まった。

■「自治基本条例をつくる会」メンバーがその大和田一紘氏の講義録要旨を起こしてくれたのでご希望の方には送りますが、財政白書づくりを全国に広げた大和田氏は「財政情報による支配から財政情報の共有化」のエポックはやはり地方分権一括法だったと述べている。本題の「財政と自治基本条例」については第5回目(12月10日)に再登場する。

■ハナシは飛びますが、この春以来急浮上したのが狛江市の最大企業「航空計器跡地巨大マンション計画」を巡る住民運動である。「考える会」などのサイトを見ていただければお判りのようにいよいよ「まちづくり条例」(旧・宅開要綱)にもとづく開発協議が山場を迎えようとしており、この開発協議自体が法制度的に事業者優位であることから、決定打である「都市計画の高さ制限変更」など求める議会陳情や市長への要望などが出ておりこれへの対応が迫られている。

■さらに当該マンション計画が第一小学校に隣接することから学校の保護者達から「東京航空計器跡地の巨大マンション建設計画とそれに伴なう解体工事に関する請願」を突きつけられたのが教育委員会だった。請願の趣旨は「①開発事業者に狛江第一小学校父兄向けの巨大マンション建設計画説明会の開催を求めます。又、②巨大マンション建設とそれに伴う解体工事によって、数々の影響が生じると予想されていますが、狛江第一小学校の児童と学習環境に及ぼす影響について狛江市教育委員会の御考えを求めます」とある。

■請願の記述としては少し抽象的な書き方だが、意味は取れる。小学校の日照や600戸の転入に伴なう児童数の激増、2年間に及ぶ建設工事など第一小学校の学校運営に大きな影響があるので市教委として当該建設計画を検証し、場合によっては市長部局にしっかり発言してほしい」と言いたいのである。

■さて、11月11日(木)9時から始まる定例の教育委員会へ傍聴のため足を運んでみた。遅れて10時半近くになってしまったが、廊下で請願者側の市民が茫然と立ち話していたので聞いてみると、すでに不採択議決の後だった。エエーッ、請願を議案として初めてテーブルに載せて1時間もせず、当該建設計画の検証もせず、まして住民側の意見も聞かず門前払いとは恐れ入った。

■請願者の傍聴者の皆さんのハナシによれば、要は、マンション開発などは建設部の所管であり、しかも開発協議に入っているので教育委員会の口出す問題ではないと言うのが即決の不採択理由らしい。ホントに仕事したがらない人達ですね。(月1回半日の委員会ですから)ちなみにその審議に関する教育委員の発言メモを見たが、中村委員(弁護士)が少しだけ腰の入らない発言をしただけだった。

■もう一度請願の趣旨を見よう。「建設計画の児童と学習環境に及ぼす影響」への市教委としての見解、立場性を問うのが請願である。ナニを勘違いしているのか知らないが「独立行政委員会」として市長の執行権と距離を置き教育政策を合議する機関ではなかったのか?せっかくドアを叩いた保護者側住民に対してこんな対応するから余計「教育委員会なんて結局役所の婿だよね」って陰口叩かれるのである。

■前から言っているように「教育委員会解体論」(穂坂邦夫)は正論なのである。ところで当該マンション問題に対しての「市長への手紙」への回答で「当該計画については、狛江市に建築確認に関する権限はなく、東京都の多摩建築指導事務所または指定機関において審査を行っていきます。 従来、こうした開発は、建築確認があれば事業者が一方的に着工することが出来、周辺の住環境が脅かされることも多かったと思います。狛江市では、住み良い環境を守るために、何とか住民の声を反映させたいと、平成15年に狛江市まちづくり条例を制定し、関係住民、事業者、地権者が望ましいまちづくりを話し合う場として、調整会の開催を請求できるようにいたしました」とのくだりがあった。

■狛江市で建築確認事務を行っていないことを偉そうに言っているが、もうとっくに地方分権で手を挙げれば東京都から当該事務権限は移譲できるのである。お隣の調布市のように。「住宅都市」狛江を言うのならそのくらいやればって言ったのは去年の基本構想審議会だったが、「調整会」開催で事業者を説得できるはずもなく、宅地開発指導要綱の発展形である「まちづくり条例」もすでに劣化しているのです。

■最初の情報公開論に戻るけど、住民運動側に聞くと、市は開発計画を2年も前から(20年8月、有償譲渡届け)知っており、近隣住民が計画を知りえたのは事業者の説明会(本年2月)だった。せめて2年前からの開発情報を住民側に開示していれば対抗策を練る時間が取れたのにと言っていたが、役所は開発事業者と住民の調停者なのですか?政府(市役所)の主は住民であり、まちづくり計画(開発規制)の決定権も限りなく住民自身に委ねるべきですよね。

| | コメント (1) | トラックバック (0)

« 2010年10月 | トップページ | 2010年12月 »