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2010年12月20日 (月)

自治基本条例の立法事実

■当ブログでの勝手ながらの石井講義の私流解釈に当の石井先生から補足の論文が届きましたので以下全文掲載させていただきます。これで『欠缺』の読み方も『立法事実』の意味もよく理解できました。皆様も参考にしていただければ幸いです。

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≪自治基本条例の立法事実≫

端的に言って、自治基本条例の立法事実は、2000 年の改正地方自治法の施行により生じているといえます。従って、自治基本条例が制定されないまま、10 年を経過しようとしている自治体は、いわば「違憲」、あるいは「法の欠缺(けんけつ) 」状態にあります。

改正地方自治法の1 条の2 によって、地方政府が誕生し、国と地方は対等の関係となりました。この条項は、松下圭一法政大学名誉教授が主張してきた「二重信託論」がここに条文の形で結実したということです。従って、国民(住民)は、国に信託すると同時に、地方にも信託をしているという二重の信託をしていることになります。

国民は、国に信託するにあたって、日本国憲法を作り、憲法に則って国(政府)が政治を行なうよう命令しました。しかし、これまで地方政府(自治体)については、中央集権的体制によって、国の出先機関的な扱い(三割自治、機関委任事務、通達制度等)に過ぎなかったわけであり、国民が信託した「地方政府」としての地位を認められていませんでした。

今回の地方自治法の改正において、自治体は、国と対等な「地方政府」として法律によって明確化されたわけです。そうなると、国との関係では、政治を信託するにあたって、信託条件を明らかにするための「憲法」を定めたのですが、「地方政府」には、信託するにあたって、信託条件を明確化するための「憲法」がないという状態が生じているというわけです。それ故に、地方政府に信託するにあたって、信託条件である「わがまちの憲法」が創設されなければならないということなのです。

さて、自治基本条例を制定していないことは、「違憲」状態であると述べました。「大袈裟な」という向きもあるでしょう。しかし、憲法価値である「地方自治の本旨」を具現化していくための自治体の根本法である「憲法」が定められていないまま、10 年を徒過しようとしていることは、憲法上の由々しき問題といわなくてはなりません。

こうした「法の欠缺」状態については、立法者の裁量という問題がありますが、自治基本条例が自治体の根本法であり、憲法である以上、10 年もの年月の徒過は職務懈怠(けたい)として、不作為による違法として、国家賠償法に基づく訴訟が提起される要件を備えています。訴えられるのは、首長、議会の両者です。

これまで、不作為により法が制定されていないことで最高裁まで争われた事件は、既にいくつかあります。しかし、裁判に勝訴するか否かを考えるよりも、職務懈怠、不作為などと不名誉にも訴えられることのないように、当事者(首長、議会)が立法をすることが肝要であり、それこそが「政治」というものだと思います。

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