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2010年12月15日 (水)

劣悪な施設からアパートへ

■先日ご紹介した江東区福祉事務所との「攻防」を経て、Dさんは国立の施設から狛江のアパートへ転居が実現します。(入居資金支給が決まり、現在引越しの準備中)実は昨日、立川市役所の記者クラブで、12月25~26日「年末相談会」(府中公園)のアピールのための記者会見があり、こまえ派遣村も共催団体として同席した際、「水際作戦の横行と貧困ビジネスと一体化している生活保護行政」の無法ぶり、深刻さを訴え、それへの闘いぶりを紹介しましたが、実はこのDさんのようなケースはかなり「荒業」に属する「直アパ作戦」なのです。

■ワタシラからすれば当たり前(移住は憲法上の当たり前の権利)のハナシなのですが、福祉事務所の現場ではアリエナイ話(狛江の職員は嘆いていました)なのです。つまり江東区(23区は基本的に同じ対応)では、まずアパート入居自体を認めていない(といって過言ではない)こと、さらに現在生活保護費を受給している自治体から他の自治体への「移管」はよほどの事情(公営住宅入居とか就職先の関係とか)がない限り認められていないからである。

■しかし毅然として申し入れすればこれを却下できるワケがないのです。ちなみにその際の「申請書」「理由書」を添付いたしますのでご参考にして下さい。

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              一時金支給申請書

宛先    江東区福祉事務所所長
                 
平成22年12月3日

アパートへの転宅のための一時金支給を申請します。なお移転先の狛江市への生活保護事務の移管手続きも行ってください。
以上、生活保護法第30条本文に基づき、審査を行ってください。
なお、審査結果は必ず文書にて回答下さるようお願いします。

申請者 氏名 ○○○○      印
住所  ○○○○ ○○○○ ○○○○        


連絡先 「さくら国立ハウス」内 ○○○○
又は 狛江市東和泉2-20-12「みんなの広場」内 こまえ派遣村 
(こまえ派遣村担当世話人 清水信之 携帯090-5815-5761)

こまえ派遣村の被保護者との関係 支援組織

※生活保護法第30条
第1項 生活扶助は、被保護者の居宅において行うものとする
ただし、これによることができないとき、これによっては保護の目的を達しがたいとき、又は被保護者が希望したときは、被保護者を救護施設、更生施設若しくはその他の適当な施設に入所させ、若しくはこれらの施設に入所を委託し、又は私人の家庭に養護を委託して行うことができる

第2項 前項ただし書きの規定は、被保護者の意に反して、入所又は養護を強制することができるものと解釈してはならない

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             アパート転宅に関わる理由書

宛先  江東区福祉事務所所長

被保護者  ○○○○
 
平成22年12月3日

別紙のとおりアパート転宅の一時金申請書を提出させていただきましたがその理由につきまして以下述べます。

1、現在、私は国立市の無料定額宿泊所「さくら国立ハウス」にいます。失業し家賃滞納でアパートの退去を迫られ生活保護を受けるとき、それまで住んでいた江東区内のアパートでの居住を希望しましたが、ケースワーカーに施設以外ありえないと言われ、しかも空きがないとのことでやむを得ず遠方の現在の施設に入りました。

1、施設での生活は仕切りなしの4人部屋(トイレ、風呂、テレビも共同)で大変不自由です。食事も粗末でこれが一食あたり550円かとおおいに疑問です。生活保護費から差し引かれた残金は2万円ほどですので、酒もタバコもやらない私でも厳しく、地元の江東区への就職活動をしたくとも、外出等ままなりませんでした。

1、昨年8月28日の入所以来1年2ヶ月が過ぎました。その間施設側からの就労等へのサポートはなく、また保護を受けている福祉事務所からも今年11月まで訪問もなく、何か見放されたような孤立感を感じていました。本年10月、1年以上同室で仲良くしていたKさんが狛江市にアパート転宅し、Kさんはストレスから解放され体調も良くなり、今後の生活への希望にあふれている様子を聞き、私もなんとかアパート生活に移りたいと強く思うようになりました。

1、その狛江市にはKさんを含めて元ホームレスの方々が共に励ましあい仕事探しや地域のコミュニティへの参加などを進めている「こまえ派遣村」があります。もともと狛江市にも昭和63年頃約5年間過ごしたこともあり、そうした派遣村のサポートを受けながら就労自立の道も開けるのではないかと考えます。

1、狛江市への転宅を希望するもう一つの理由は、言いにくいことですが、江東区の福祉事務所の担当ケースワーカーの威圧的な態度や命令口調の「指導」にはノイローゼになるほどのストレスを感じてきました。そうした方々のいる江東区の保護行政にはもはや期待できないし、正直言って一日も早く離れたいのです。

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■ついでですが、次回はワタシラ「こまえ派遣村」が自らの立ち位置、存在理由を考える際、最も関心を寄せている「自立支援プログラム」とはナニか、狛江市での実情について資料が入り次第レポートしたいと考えていますが、そのような問題意識に至るまでに参考にした文献などもご紹介しておきます。とユーか今日の貧困問題・生活保護行政を考えるときの必須文献かなと思いますので・・・。

■湯浅誠「反貧困」(岩波新書)、岩田正美「現代の貧困」(ちくま新書)、本田良一「ルポ生活保護」(中公新書)、湯浅誠「あなたにもできる生活保護申請マニュアル」(同文館出版)、厚労省「生活保護受給者の社会的居場所と新しい公共に関する研究会報告書(平成22年7月)」、分権型政策制度研究センター「分権型の生活保護行政に向けて(平成18年8月)」(代表・新藤宗幸)、日弁連「生活保護法改正要綱案(平成20年)」以上。


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コメント

読ませて頂きました
現状を知り悲しく感じました。
自分が生活していく中で不安があり参考になればと検索していたら此方が目に留まりました。ありがとうございます

自身も似たような感じでほぼ強制的にという感じでした。音が非常に響く状態の4人部屋+普通に生活するには他の色々な方々の尻拭い的なことがどうしても発生する(放置=実害が多い)厳しい状況です。毎日何かしらあるのは凄いことです。

口出ししてはいけないのでしょうが、障害・病気が重い方が多い?と大変な面があります。コミュニティ的にはあるべき姿かも知れないが、福祉的には違う・分担すべきかなと。

角が立った対応で精神的に追いつめられそうです(笑)
伝え方・態度?等に問題があったかも知れず、気になることを伝え過ぎた我慢不足の所為だろうと反省し諦め早く出る為に日々行動していくのみです。
命に関わることがいいかげんなのには恐怖。周りの言えない環境。多数は気づいてない・気づけない方々。美味しそうに食べているのをみて・・・
という私も確信を持つ迄、確認みたいなことをし続けました。

居場所、色々して下さっていることには感謝しています。こういう世界があり職員含めて皆大変なのだということを痛感し勉強になりました。
                  以上

投稿: s | 2019年4月10日 (水) 15時09分

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