« 池上洋通VS辻山幸宣 | トップページ | 市民主導と運営主体をドーする? »

2010年12月 4日 (土)

貧困ビジネスと同伴する江東区福祉事務所

■ところで「貧困ビジネス」という造語の発信源が湯浅誠さん(2009年日比谷派遣村村長)だったと今頃知りました。さて先ずは江東区福祉事務所へ行ったハナシからですが、ナゼかと言うと前に触れた「さくら国立ハウス」(国立市)から狛江に一年ぶりに戻り、アパート入居をしている「こまえ派遣村の村民」Kさんの同室だったDさん(57歳)はもともとは江東区のヒトですが近くの施設に空きがないとのことで「さくら国立ハウス」へ送られ、すでに1年2ヶ月を経た方です。そのDさんを希望する狛江市でのアパート生活を実現するための交渉に出かけたというわけです。

■実は情けないことに、この業界では新人の私とDさん本人だけでは少し迫力不足なので、江東区議のNさんにも事前に連絡し同行を依頼していたのですが、議会中でままならず、我が派遣村の“本店”である「府中派遣村」のベテラン渉外担当Tさんという強力な助っ人を得て、遥か江東区へ乗り込んだというワケでした。足立区や江東区の保護率(生活保護受給者数)が相当高いことは推測できるので、福祉事務所の現場は大変なんだろうなとは思うが、失業中(建設業)でアパートから追い出される直前状態だったDさんはいわゆる「ホームレス」ではなかったにもかかわらず(身辺自立や社会性を促す名目の)施設行きを命じたケースワーカーはワタシラからすれば保護法30条違反のトンデモない奴なのでこちらもしっかり身構えて臨んだのでした。

■西大島駅そばにある総合区民センターの一角にそこだけ特別のエリヤの「生活保護第2課」がある。狛江市役所の福祉窓口のようにカウンター越しに職員達の仕事風景が拡がっているそれとはまったく違いアクリル板のような壁で一切中の様子が見えない空間に長イスが並ぶ待合室があり、少しだけ開いた窓口に要件を告げスピーカーで呼び出されるのを待つという今どき珍しい代官所のような役所だった。実はその日は保護費の支給日であり大勢の方が長イスや立ちんぼで自分の番を待っていた。

■保護課にはどこでも個室(2~3人用)の「面談室」が複数ある。やはり4つ程度の板で仕切られた個室があり、呼ばれるとそこに入り保護費支給を受けていた。ただしさっきの窓口とかで封筒を受け取った方もいたのでその差はナンだろうと不思議に思っていたらDさんがやはりその個室に呼ばれて意味がわかった。中には「宿泊所」の集金係が入っていてケースワーカー立会いで関係する入所者の保護費を天引きするのだった。NHKクローズアップ現代(2008年11月)などで福祉事務所の廊下で待つ強面の兄さんの風景が「援助か搾取か“貧困ビジネス”」として印象的だったがここでは特別室を用意された宿泊所集金係と江東区福祉事務所の姿があった。(さくらハウス=「特定非営利活動法人さくら福祉推進協会」は上得意先ナンだね)

■もっともTさんに聞けば江東区だけのハナシじゃなくて府中だって集金係は来ているそうだから本質的にはそう変わらないのが東京全体の貧困ビジネスとの相互依存関係だろう。肝心なハナシのDさんのアパート転宅の交渉だが、狛江市への「転宅一時金申請」の書面を見せて「受理か却下か書面で回答せよ」とやったので「一度本人と相談したい」など抵抗する姿勢も見せたが「問答無用、いつも命令口調の威圧的な態度のアンタとは本人が話したくないと言っている」と突き放すと「狛江市と相談して、移管を受けてもらえば転居費用は江東区ということになる」との事だった。どうなるか不安だが待つしかない。

■さて、ついでに少し「無料低額宿泊施設」問題を補足する。すでに概要は紹介済みですが、「無料?」なんてとこないよね。だから低額宿泊施設?これもインチキなことは「さくら国立ハウス」の4人部屋で見てきた。「低額」の意味は近隣の不動産価格より安いの意味だがむしろ明らかに高いですよね。同じ4~5万円なら立派な6畳のアパート(ユニットバス付)に入れますよね。福祉事務所が面倒がらずに地域の不動産屋さんを斡旋すれば別だが、住民票、電話もないホームレスの方はアパートに入れない。だから現状では施設は必要だが、あくまで「一時的な宿泊所」でしかないから「第2種!社会福祉事業」なのである。

■ちなみに同様な趣旨で生活保護受給者などのための収容施設の「第一種事業」(すこし長期の受け入れ可能)は公設か社会福祉法人しか経営できない許可施設なのです。それがまったく少ないから「第2種」を頼りにしているという関係なのです。しかも厚労省ガイドラインでも原則個室が前提ですし、例えば問題があった千葉市のガイドラインでは「3ヶ月以内に自立させるよう指導すること」謳われています。

■長くて半年でなければならない「低額宿泊所」へ1年以上も、もっと長期も当たり前な現実を放置しておく保護行政ってナンなんだ?の疑問により深く答えてくれるのは、厚労省の怠慢を鋭く糾弾する日弁連「無料低額宿泊所問題に関する意見書」(2010年6月18日)だった。関心ある方は是非ご一読を。また、施設へ放り込んでおくだけでは税金のムダづかいだけでなく「自立支援」にもつながらないはずなのだが一体保護法の目的である「自立を助長」のするための「自立支援プログラム」との関係はドーなっているんだろうなどのハナシは又。

■明日は派遣村の「こまえ楽市」へのフリマ出店の2回目だ。寒そうだが、当事者たちのガンバリに背中を押されてガンバロウ。

|

« 池上洋通VS辻山幸宣 | トップページ | 市民主導と運営主体をドーする? »

こまえ派遣村」カテゴリの記事

コメント

とても興味深く、同感もあり、拝見しました。
ところでこのブログはもう、やめてしまったのですか?まだ最新のことや、おたずねしたいこともあります。

投稿: 貧困ビジネス会いました | 2019年4月30日 (火) 14時39分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 貧困ビジネスと同伴する江東区福祉事務所:

« 池上洋通VS辻山幸宣 | トップページ | 市民主導と運営主体をドーする? »