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2011年6月28日 (火)

終わらない「市民の定義論争」

■第4回自治基本条例研究会(6月24日)の清水流レポートの続きです。(正式の会議録ではありません)当日は、狛江市参加協働審議会での条例改正論議の関連で、「市民参加制度(手続き)提案制度」と「市民参加対象(行政活動)除外規定(市税・料金等徴収)」の撤廃問題が話題になったことまでが前回レポートでした。

■次のテーマは市民投票でした。狛江市参加条例では「・・・市長は必要があるときは市民投票を実施できる」(第23条)とあり、その2項で「市民投票に付すべき事項並びに市民投票の期日、資格者、方式、成立要件及び結果の取り扱い、その他の市民投票の実施に関して必要な事項については、別に条例で定める」として大きな争点課題が出た時考えるという極めて消極的な規定であり、一方「神原私案」では「市民有権者がその総数の5分の1以上の者の連署によって市民投票の実施を請求したときは、これを実施しなければならない」とあり、市民からの「発議」(イニシアチブ)を保障しているがわかりました。

■さらに、報告者Iさんのレジメでは「和光市市民参加条例」の「住民投票」条項(第14条)が紹介され、「有権者千人以上の連署と条例案を添えて」「その代表者が請求」でき、「市長は20日以内に議会を召集し、意見を付けてこれを議会に付議」」しなければならないとして、和光市参加条例も市民の発議(発案)権が担保されていることを確認しました。その上で、和光市では「千人」(有権者人口約6万人だから60分の1)と低いハードルに対して、神原私案(札幌市有権者人口約150万)で「5分の1」と極めて高いハードルですが、違いはどこにあり、その評価はどう考えたら良いのでしょう?と云うことになりました。

■狛江市参加条例でも最低「市民の発議権」を担保するべきですよねとの声があり、さらに、神原私案は入り口のハードルは高いけど、「請求したとき」市長は「これを(必ず)実施しなければならない」し、「投票結果を尊重して当該事案を処理しなければならない」と「諮問型」ではあるけど限りなく「拘束型」住民投票制度に近い条例になっているなどのことを確認しました。

■さて、狛江市市民参加審議会の「条例改正分科会」座長である「飯田委員の論点メモ」(平成22年度審議会答申・参考資料)には「新たな施策」として「市民政策提案制度の創設」と並び、項目だけだが「市民投票提案制度」「地域団体への予算提案付与制度」などが記されているが、果たしてどこまで議論が出来るのか、平成23年度内へと短縮された改正作業工程表(審議会会長の任期中の改正案仕上げが理由らしい)では不透明ですね。

■そこで、前回ブログ同様「2011年地方自治法改正案」に注目してみますが、「2010年改正」同様、住民自治の強化が主な内容でして、通年議会化など議会の自立度を高めると同時に「代表民主制を補完する直接民主制的手法の充実」として、①「直接請求制度の見直し」で「リコール要件緩和」と前回触れた「地方税の賦課徴収等に関する条例も直接請求の対象とする」が、②「住民投票制度の創設」では「重要な公の施設設置についての拘束的住民投票の追加」が盛り込まれていますよね。具体的には「条例で定めるところにより」「大規模な公の施設の設置」に対して住民投票で過半数の同意がなければ設置できないとするものです。これは市民参加の切り札?としての市民投票制度が先進自治体で定着してきたことを受けた総務省(地方行財政検討会議)の対応ですよね。

■ちなみに、住民投票制度の対象拡大は「議会の議員定数の法定上限数を廃止することとしているが、本法案が成立した場合(5月施行済み)、その運用状況を見極めながら、議会の議員定数を対象とすることについても議論を深める」(「地方自治法抜本改正についての考え方」23年1月26日総務省)としており、議員定数もすでに射程に入っているのですね。

■市民投票制度の具体化(常設型)が直接民主制的手法により市民参加の実感を高めることは間違いないところですが、再び条例比較に戻るとして、「すべての市民は、主権者として市政に参加する権利を有する」とする神原私案:第7条(市民参加の権利)と狛江条例「市民はそれぞれの立場において、行政活動に参加する権利を有する」(第4条)では同じ「市民参加」だが、「市民=主権者」規定によってその内実に少なくない違いがあるのではないかと仮説を立ててみました。

■自治基本条例の世界では、市政=行政と議会であり、「主権者=市民(住民)が自治体という政府権力をコントロールする」(神原勝)ためのルール(基本法)であり、したがって「市民参加」は先ずは「住民」の有する権利と言うことになります。(住民だけに限定すべきか?は不明です)狛江市民参加条例は市民の定義をしない理由に、住民から通勤者に至るまで各段階(対象)により参加できる範囲の違いがあることを述べていますが、そこは曖昧にしています。というより「総合基本計画」の定義では「市民=在勤・在学、狛江市を支えるすべての団体・企業」とあるので別の定義があれば行政として不整合となります。(現に参加条例も総合計画も同じ学者達が主導しました)

■確かに市民参加と一口で云っても、例えば「市民投票」の資格者や「教育委員会」や国民健康保険運営協議会」のような審議機関委員に当該住民でない者はふさわしくないなどのことはあり、一方でまちづくりや地域振興等の事業や関係する計画策定過程には通勤・通学者、企業法人関係者など多様な参加者を呼ぶ込む必要があり、許容されるでしょう。したがって「市民委員」「公募市民委員」とは何か?(その資格要件は?)ということは「未定義」(飯田論点メモ)であり、「公募委員の不採用通知にその理由を付すべき」(飯田論点メモ)などのことを含めて、かねてより「審議会運営マニュアルの必要性」(審議会総合評価)が問われていたのでした。

■だから、ワタシラが答申し、策定された基本計画でも「市内在住委員が過半数の審議会を現行2割から8割へ」(答申した原案は「市民委員過半数」でしたが行政により書き換えられました)という「施策成果指標」を設定したのです。(市民参加審議会の条例改正にあたって、この成果指標達成は前提とならなければおかしいとの指摘をした前回ブログ記事は条例改正分科会メンバー全員に配布させて頂いております)市民の定義が曖昧だから、市民参加の対象も市民参加の方法も、ひいては審議会公募制も目指すべき姿が設定できず、毎年微調整のローリングを繰り返すこととなるのではないでしょうか?

■果たして、自治基本条例学習に基づく私の仮説=「市民の定義が曖昧だから参加の精度が高まらない」を前提として、市民=主権者=住民による参加を起点に考えるなら、「審議会は公募市民委員を過半数とし、議長(委員長)は市民に託し、学職・有識者はアドバイザーとして委任し、市長推薦の団体関係者は最小限に留める」という審議会改革(運営マニュアル)が見えてくるがと、水を向けたが、ウームそれでも、「主権者を住民だけと限定することにどうしても合点がいかない(例えば路上生活者は?)」などの出席者もいて、まだまだ「市民の定義論争」は続く気配です。

■参考までにですが、「市民の定義」をめぐって、神原勝教授へ石井秀一先生から質問をしていただき、お答えを頂いたことを石井先生よりコメントを頂きました。ワタシ的にはこれで胸のつかえが取れましたので皆様にもそのペーパーを当日に配布させていただきました。当日は時間もなく充分な説明もできませんでしたが、もし興味ある方がいたら、他の資料も含めてお分けします、お申し出下さい。

■「自治基本条例研究会」の7月の日程変更(追加)のお知らせです。皆様の都合により7月の予定は以下の3日間です。どなた様も参加自由です。(当初予定の7月29日は中止)

★第5回7月8日(金)第1会議室(夜7時~9時)
「自治体間・国との関係・国際交流」
★第6回7月15日(金)第1会議室(夜7時~9時)
「総合計画・財政・法務・政策評価」
★第7回7月22日(金)第2会議室(夜7時~9時)
「行政組織と職員政策」

■なお、狛江市市民参加協働審議会第3回「条例改正分科会」は
7月19日(午後7時市役所)です。感心ある方、ご一緒に傍聴しましょう。

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