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2011年7月24日 (日)

「小さな(スリムな)市役所と大きな(総合)政府」

■7月22日(金)の第7回自治基本条例研究会は10名の参加で、「神原私案:第6章行政組織と職員政策」との狛江市比較を行ないました。前回に続き、助言者として石井秀一先生に加わっていただきました。報告者Iさんは、事前に市役所職員にヒアリングし、課題を抽出していただきました。Iさんが主に比較対象の俎上としたのは、「狛江市庁議規定」や「狛江市プロジェクトチーム設置規定」や「第4次行財政改革大綱(推進計画)」「職員定数適正化計画」等でした。

■前回の「自治体法務」も市民からは奥の院で見えにくいハナシでしたが、「行政組織」や「職員(人事)政策」も、まさに市役所内部の制度なので市民からは扱いにくいテーマかもしれません。加えて、あとでの振り返りで恐縮ですが、その項の神原私案は後述する「市民委員会」規定を除いては今一歩、具体的なイメージが見えて来ないのです。なぜかなと思って、当日の「石井資料②」をヒントに考えたのですが、神原私案の「行政組織の編成(21条)」には、これからの地方政府、地方自治体の行政体(組織)をどのように構想するのかというアクティブな改革論(理念)が示されていないからではないかという結論に達しました。(「簡素で効率的かつ透明性の高い組織を編成する」だけでは自治法の条文と同じであり、何にも云ったことにならない!?)

■その部分に関して「石井資料②」は「総合行政(の時代)」を取り上げ、総合行政化の事例として、「教育委員会」の必置規定を解除し、自治体による選択制(廃止)の課題(第28次地方制度調査会)や、その具体化としての「平成19年の地教行法改正」(学校教育以外の文化、スポーツ分野の事務を市長部局へ移管できる)も紹介しました。(狛江市も組織改正で文化施設―エコルマホール、民家園や、生涯学習―学び講座を市民部地域活性課に移管済み)つまり、清水が云いたいのは、行政組織改革のメインエンジンは「総合行政化」にあり、という考え方です。

■ちなみに、Iさんが報告の中で取り上げた「協創」(参加・協働の進化型?)を意味不明ながら目玉?とした第4次狛江市行財政改革大綱のもう1つの行革論の中心は「行政経営システムの構築(NPM導入)」だと考えられます。(先輩格で有名なのが、三鷹市の「自治体経営」であり、同市自治基本条例にも謳われている)その狛江市での実際はともかく、「自治体経営」を中心理念とした行政改革論もトレンドだが、むしろ地方分権改革の観点から見れば、民間経営手法の導入は1つのツールに過ぎないとワタシ的には考えます。

■分権改革で基礎自治体(市町村)に権限・財源を渡せと国に迫るなら、受け皿を整える覚悟が必要ですよねと云う事です。そのキーワードが、国のタテ割り行政(のひも付き補助金)にぶら下がるのでない「総合行政主体」としての地方政府の自立化であり、分権改革の要請はそこにあると考えたのです。

■手前みそになりますが、実は4年前の清水の選挙公約や、狛江市改革のメインのコピーは「小さな(スリムな)市役所と大きな(総合)政府」でした。(ちなみに同時期に「提案型公共サービス民営化制度」で有名な福嶋浩彦(前)我孫子市長は「大きな公共と小さな政府」と言っていました)その目指す市役所のかたちは「教育委員会廃止」「公民館廃止」「農業委員会廃止」「外郭団体への天下り廃止」「指名競争入札廃止」「保育園民営化」等であり、一方、「教員の人事権」「建築確認事務」「介護施設・事業者の認可事務」「NPO認可事務」「パスポート発給事務」等、都からの事務移管により、守備範囲の広い行政を実現するというものでした。

■第4次狛江市行革大綱の上位計画である基本構想・基本計画にも「地域総合行政化」の記載はあり、「サービスや事業を部局を超えて提供すること」と注釈していますが、ワタシが考える「総合行政化」は市長部局への統合や二重行政廃止、事務権限委譲という大きな改革論であり、「地方政府としての自立」と同義語ですから、すこし狭い解釈ですね。

■22日の研究会当日のレポートと言う意味では遠く離れましたが、こうした「総合行政主体」への自立という理念のもとに行政組織論は語られるべきではないかと考えたので、あえて恥ずかしながら清水の過去の政策まで持ち出したというワケでした。

■ですから、ワタシ的には不満の残る神原私案(第6章)でしたが、当日のかなりの時間を割いて議論したのが「市民委員会等」(第23条)でした。行政組織(改革)には淡白なのに、わざわざオリジナルな審議機関である「市民委員会」の設置に多くの字数を割いている神原私案の意図はナニか?にワタシだけでない参加者の興味がありました。石井先生が前回研究会で言ったように、行政追認型の諮問機関である「審議会」を否定し、市民自身の手に運営権限を与えて、政策立案過程の合意形成への最大限の関与(市民自身による討議要綱)を担保させようという意図から、行政組織と職員政策の章に入れたのでしょうということに落ち着いたのでした。(その上で「市民委員会の設置と運営に関する条例」の制定も定めるとしている)

■これって、7月22日ブログの「住民参加の梯子」でいえば、最上位の「市民によるコントロール権」に近いことになるワケで、市民参加の方法としても「審議会への市民公募」で良しという時代は去りつつあることになりますよね。さらに当日の会場での再発見ですが、市民委員会の「市民」とは「住民」(神原私案の市民の定義)ですから、もし市外の学職・有識者や通勤・通学者を参加させる場合は「アドバイザー」とかの条件付になりますよね(主導権は住民)というダメ押しの議論も追加されたのでした。その他、報告者Iさんからはもっと地道なハナシとして、職員と市民が協力して政策づくりが可能な行政組織論が提起されたり、元自治体職員OBの石井先生のかなり過激な職員政策(定数・給与・人事管理)なども提起されましたが、ワタシ的なブログレポートを優先して書いてみました。詳しい実際の会議録は別途作成しますのであしからずご容赦下さい。

■自治基本条例研究会の日程のお知らせです。
少し先になりますが、いよいよ議会条項に入ります。狛江の議会改革が大いに語られるはずです。これこそ本丸だと思いますので、初参加の方もOK、傍聴もOKですので是非ご来場下さい。(8月19日を追加しています)

★第8回研究会 8月12日(金)午後6時半~第2会議室
 「議会と議員活動の原則」
★第9回研究会 8月19日(金)午後6時半~第3会議室
 「コンプライアンス」「市民等の責務」「最高規範性」
★第10回研究会 8月26日(金)午後6時半~講座室
 「狛江市参加協働条例改正案を考える」

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