« 2011年7月 | トップページ | 2011年9月 »

2011年8月

2011年8月28日 (日)

「最高法規性」とは何か?

■8月26日(金)は夕方から狛江でも集中豪雨でしたが、第10回自治基本条例研究会は10名が出席し開催されました。いよいよ最終章「最高規範性と見直し手続き等」というマニヤックな自治体法務理論にUさんが挑戦してくれました。自治基本条例が「自治体の憲法」と云われる根拠の1つがこの「最高規範性(法規性)」という法律概念ですよね。ざっくり云えば、自治体の憲法に値する条例構成を持ち、当該自治体の他の条例や国の法律等の解釈にあたり、この基本条例を基準にして判断することだと思います。

■ワタシラ素人が、憲法や地方自治法を理解し、法理論上誤りのない自治基本条例を構想できるのか、そのためには相当のトレーニングが必要になることを改めて実感したのがこの「最高法規性」でした。その原理を理解するためには私たちの共通テキストである「自治・議会基本条例論」(神原勝)と共に、自治体総合政策研究所(石井秀一)のサイトから政策研究レポート「自治基本条例の最高法規性」を読むことをお薦めします。というより石井論文まで読まないと「最高法規性」はおそらく理解できません。

■ちなみに、神原私案「第10章」は以下のとおりです。

第10章 最高規範性と見直し手続等

(最高規範性)
第43条 この条例は、市政運営における最高規範であって、市は、この条例に違反する
条例、規則の制定その他の行為をしてはならない。
2 市は、この条例に定める市政運営の基本理念及び基本原則に照らして、不断にその他の
条例、規則等の改廃に努める。
3 市は、日本国憲法、法律及び政令等を独自に解釈し、運用する場合も、この条例に照
らして、自主的かつ民主的に判断するよう努める。
(見直しの継続)
第44条 市は、この条例の施行から3年を越えない期間ごとに、市民、職員、市長及び議
員等が参加する検討機関を設置し、この条例が初期の目的を達成しているかどうかを検討する。
2 市は前項の規定に基づく検討の結果、制度の改善が必要な場合は、この条例の改正を含
めて適切な措置を講じる。
(市民投票手続)
第45条 この条例は前条に規定する見直しの手続を経て、適切な時期において、市民投票に付し、過半数の賛成を得て、あらためて承認するものとする。

■Uさんは、法律用語の多いその石井論説を分かり易く要約して、各市自治基本条例の最高法規性の要件から見たオリジナルな「分析一覧表」を作成して解説してくれました。ちなみに比較対象とした自治体はニセコ町、札幌市、杉並区、多摩市、三鷹市、小平市でした。さてUさんによる、その「最高法規性の要件」とは、「①特別な改定要件(議会の特別議決)を設ける、②住民の批准投票を実施する、③自治体運営の基本的事項(自治体の組織運営原則、市民と自治体との権利義務関係等)の規定(の有無)、④条例の体系化に関する規定、⑤自治基本条例の尊重・尊守義務に緘する規定、⑥最高性の宣言規定」に集約できるとしました。

■Uさんが石井論文を要約してくれたように、(もっとも36ページもの論文を私自身も読みこなせたとはいえませんが・・)基本は「(日本国)憲法の最高法規性」に関する考え方を踏襲したものですから、先ずはそこの理解が大前提となります。憲法の第96条の「改正手続き(硬性憲法)」第98条の「最高規範(憲法に反する法令は無効)」第97条「総則的規定(憲法の目的・基本的人権)」第99条「尊重擁護規定(他の法解釈基準・立法基準)」の理解、ついで憲法第8章「地方自治」(二種類の政府・二重信託論)や2000年地方分権一括法による改正自治法(主従から対等へ・地域における総合的な行政主体)の理解を踏まえて「自治基本条例の立法事実(成立根拠)とその最高法規性の担保が確認されるのだと教えていただきました。

■そこで各市自治基本条例の最高規範性構成要件の比較表に戻りますが、最もハードルが高いのが、①の「特別な改定要件」であることが分かります。これは神原私案を含めて全市が記述なしです。ついで②の「住民の批准投票」は神原私案のみに設定されています。あとの③から⑥までは一部欠落がありますが、おおむねの自治体で記述されています。そのこと(特別議決)についても石井論文が詳しく解説しています。

■憲法が「国会での3分の2議決と国民投票という改定要件」を備えているのに、ナゼ自治基本条例の「特別改定要件」に踏み込まないのかですが、現行地方自治法による「条例制定の議決要件と『特別の定め』規定」が障害になっていることがわかります。第116条「この法律に特別の定めがある場合を除く外、普通地方公共団体の議会の議事は、出席議員の過半数でこれを決し、可否同数のときは、議長の決するところによる」とあり、その特別の定めとは「事務所の変更」「役員解職議決」「秘密会議決」「議員資格喪失」「議員の除名」「再議の議決」「長の不信任議決」「重要な公の施設廃止」であり、それ以外は3分の2議決などを用いることができないとの解釈があるからです。

■当日の研究会でもアレコレ議論しましたが、ナンデこんな余計なお世話の議決要件まで地方議会が縛られなければならないのか?それこそ「自治権の侵害」ではなかろうかとのハナシでした。神原私案比較で議会条項も議論してきましたが、すでに議員定数や議決事件範囲の自由化すら実施されたというのに、議決要件にこんな縛りがあることに唖然とせざるをえませんよね。一刻も早く自治法改正のテーブルに載ってほしものです。それはそうと現行法でも解釈次第で特別議決(特別な改定要件)は可能とする立場の研究者・自治体もあり(神奈川県自治総合研究センター等)今後の自治基本条例策定(改正)の課題であることは間違いありません。

■とりあえず議論の一端を紹介し、第10回研究会の感想・備忘録としますが、この日の後半には、「狛江市市民参加条例改正」の議論とどう向き合うかを議題としました。この件は又明日にでも振り返りますが「行政と一体となった」参加協働審議会への批判を書きます。次回以降の研究会日程は、第11回:9月2日(金)午後7時~第3会議室、第12回:9月9日(金)午後7時~第3会議室です。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2011年8月23日 (火)

「市民の責務」規定はいらない!

■22日ブログの続きです。神原私案「第9章市民、市長、議員及び職員の責務」に関してですが、報告者のYさんも悩んだ末「神原私案と他市(自治基本条例)比較」を作成し、議論の題材としました。というのも狛江市の条例・規則に神原私案に該当する「責務」規定は各政策条例に散見するものの、当該政策領域に限定されるものであり、比較しようがないからでした。

■その各市比較は小平市、多摩市、三鷹市、杉並区の自治基本条例でした。市長や議員、職員の責務については省略しますが、「市民の責務」では「納税の義務」に関するもの、「まちづくり」や市民相互の「連帯」、「地域社会の発展への貢献」等でした。

■ところで、神原私案では市民の責務を「第39条 市民は、この条例を定める知る権利及び参加の権利等を行使して、社会における連帯意識と公共心を培い、もって基本的人権の尊重のうちに互いが共和する豊かなまちづくりに貢献する責務を有する」と書いてあります。議論の中で、そもそもそれぞれの責務規定を集約して、章立てにした意図はどこにあるのですかね?との疑問も発せられました。

■当日は時間もなく、これもアト出しジャンケンのようなハナシで申し訳ありませんが、そもそも「市民の責務」を基本条例に書き込むこと自体への疑問がムクムクと湧いてきました。それは昨年の公民館講座での二人の講師のハナシを思い出したからでした。

■さて、その第一は池上洋通講師の憲法講座です。学習記録38ページの中段に「さて、国民と憲法の関係では、立憲主義というのを次にように理解することが大切。国民が憲法に支配されるのではなく、国民が書いた憲法を、権力を握る者に与えて、このように働きなさいというのが憲法。これが肝心である。みなさんは、まちの憲法をつくると考えて『自治基本条例』をつくろうとしておられるようだが、それは公務員に対する命令文書でなければならない。「市民の義務」なんて書いたらダメですよ。市民を支配するためにつくるものではない。この根本を忘れると訳のわからないものになってしまう。」とあります。

■次に、石井秀一講師もほぼ同様な見解を示した上で、さらに「『市民の責務』規定は必要なのか」と詳しく論文を提供して頂いております。それは自治総合政策研究所のサイトの「自治基本条例読本-その15-」に書かれているものです。詳しくは是非《自総研http://www.jisouken.com》にアクセスしていただきたいのですが、その核心部分のみ転載させていただきます。

*************************
③憲法における三大義務は不要な規定
『このように、現憲法の国民の三大義務は、そもそも最初のGHQの憲法草案にはありませんでした。憲法原理は、「国民主権」に大転換したにもかかわらず、当時の政府や官僚は国体護持をはじめ旧来の大日本帝国憲法の考えを引きずりながら、その趣旨を新憲法にふさわしくない形で残してしまったということです。
そもそも、主権者である国民が代表機構(行政、議会)に命令することを書くべき憲法に「国民の義務」を規定するということ自体が誤っているといわざるを得ません。憲法は国民が守るというよりは、むしろ国民が国家(政府)に守らせるべき法なのです。
前述したとおり、(国民全てではない )保護者の「教育を受けさせる義務」は、憲法ではなく、教育基本法など下位の法律において定めるべきものです。それより、むしろ国にこそ、子どもの教育に責任があり、「教育を受けさせる義務」があるのです。
そして、「勤労の義務」については、「国民は、誰に対して勤労する義務があるのか」という問いに答えられない意味不明な文言であり、また、「納税の義務」は、国民主権となったにもかかわらず、「臣民の義務」としての「納税」の観念を引きずるなど、大日本帝国憲法下の国民の二大義務を、結局継承した形となっているのです。
どれをとっても、憲法改正時には不要な規定として改正されるべきものだといえます。』
**************************

■これだけでは要領をえないかもしれませんが、憲法上の三大義務規定の誤りを完膚なきまでに指摘した上で、政府信託論として同じく、自治体政府の自治基本条例の上でも侵してならない間違いとして「市民責務規定」を述べています。神原私案の「市民の義務・責務規定」はかなり抑制的な書き方のような気がしますが、いずれにせよ誤解を招く「市民の責務規定」をあえて主権者市民の代行機関である市長や議員の責務と同列にして書き込むというスタイルには納得がいかないというのがワタシの意見です。自治基本条例(議会基本条例)の研究の第一人者と云われる神原勝教授のモデル案に対して、恐れ多いカン違いだったら良いのですが・・・。とりあえずの感想でした。

■今週も8月26日の金曜日午後6時半~講座室(中央公民館)にて第10回自治基本条例研究会を開催いたします。どなた様も自由に参加可能です。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2011年8月22日 (月)

自治体政府の標準装備

■8月19日(金)の第9回自治基本条例研究会は10名の出席で行われました。前半は、神原私案の第8章「公正と信頼の確保」に関する制度比較であり、その項目は「行政手続」「外部監査」「オンブズパーソン」「競争入札」「市長交際費」「政治倫理条例」「職員倫理条例」「職員の報告」といったもので、担当のAさんが丁寧に狛江市の条例規則を拾って比較表を作成してくれました。

■「行政手続」に関しては、公的な事務の処理に関する市民からの請求に対し、市がその事務処理の基準を示すことにより、市民の権利利益の保護を図る制度ですが、平成5年の行政手続法により自治体も条例化が求められたものでした。狛江市の「行政手続条例」(平成10年)も周辺各市の条例ともほとんど相違がないほど総務省(自治省)のモデル条例を写しただけの条例であり、神原私案の言う「市民参加による基準の設定」は狛江市条例の今後の見直しを待たなければならないということになります。

■「外部監査」の項ですが、外部監査制度とは「カラ出張、カラ帳簿など自治体の財務管理のずさんさが問題となったことをうけて、1996年(平成8年)地方自治法の改正で新たに設けられた、外部の監査人に委託して自治体の財務監査を行う制度。都道府県、政令指定都市および中核市には義務づけ、一般市町村は任意とされる」「抱括的な監査契約のほか事務監査請求、議会・長からの監査請求、住民監査請求などについても個別に外部監査契約を結ぶことができる。外部監査人には弁護士、公認会計士、税理士のほか国、自治体での財務に関する行政事務に精通したものが選任される」(辻山幸宣)

■というものであり、神原私案が政令指定都市である札幌市を対象としていることから、外部監査制導入は当然なのですが、一般市の狛江市でも可能な選択です。しかし、これまで検討されたというハナシを聞きません。特にAさんの用意してくれた資料にもある(所謂外郭団体の)「財政援助団体監査」などには有効だし、そもそも議員枠一人と民間人の二人だけで、しかも独立性の乏しい監査事務局(職員は身内の役所人事)では厳しい監査ができないのは自明です。だから平成18年自治法改正で監査委員の数も自由化されたことも含めて、監査委員制度を再検討すべきだという結論になりますよね。

■次が「オンブズパーソン」です。オンブズパーソン制度の歴史を含めてAさんから解説もありました。平成2年の川崎市で始まった自治体オンブズマン制度ですが、多摩市、国分寺市、三鷹市も早い時期から設置されています。狛江市でも検討されたのですが費用対効果の点で見合わせられた経過がありましたよね、とのハナシがでました。神原私案では「市は、法律に基づく市民の権利利益の救済等の諸制度を補完し、簡易迅速に市民の権利利益の保護を図るため、オンブズパーソンを置く」とあります。議論の中では、「狛江市市民福祉推進委員会」も設置当初は「福祉オンブズマン」機能を有するとの触れ込みでしたけど、地域福祉計画等の策定、進捗管理に重点が移され、現在そのような機能はどこかに消えてしまいましたね、などが話されました。ワタシ的には、地方分権で強化される権限の中で、公権力行使に対する最強の苦情処理機関としてのオンブズマン制度は必須アイテム(標準装備)されるべきだと思います。

■次に「競争入札」です。神原私案では「・・競争入札の実施要領を定める」以外に書き込みがなく、神原教授は入札改革にあまり関心がないのかと思われるほど不充分なものと云わざるをえません。私の方からは、「狛江市入札改革プロジェクト」(平成17年報告書)が問題を先送りした結果、今でも公共工事の一般競争入札(制限付き)は1億5千万以上の事業にしか実施されておらず、三鷹市2千万円、立川市130万円以上が競争入札とされているに比べて極めて遅れている。総務省・入札適正化方針や市民オンブズマンが指摘しているように「指名競争入札」こそ、談合の温床であり、その廃止こそ改革の核心なのです。だから電子入札導入でも落札率は相変わらずの高止まりなのです。狛江市は市内業者育成の名のもとに、入札改革について10年遅れと云わざるをえません。もう1つ、オマケですが、契約議決事件も自治法(政令)で1億5千万円以上(一般市)とされていることも議決事項拡大の(分権改革の)ターゲットにしなければなりませんよね。

■次は「市長交際費等」です、神原私案が「すべて公開」と云っていますが、矢野市長は就任以来ホームページですべて公表していることは評価できるのではないでしょうか。また市議会議員の政務調査費に関しても狛江市議会(年間30万円)の政務調査費も条例により「報告書提出」があり、市民の公開請求に応じられるようになっています。報告者Aさんが気がついたことですが、市長交際費(食糧費も)に関する条例規則が見当たりません。これって矢野市長の政治姿勢として実施されており、制度化はされていないのでしょうか?これは宿題となりました。

■次は「政治倫理条例」「職員倫理条例」です。市長の資産公開条例が義務付けられています。狛江市議会の「議員政治倫理条例」も制定済みです。しかし職員については「服務規程」以上のものはありません。次が「職員の報告」の項ですが、所謂「公益通報制度」です。狛江市にも「公益通報規則」(平成18年)がありますが、すべて身内の役所内(職員課が通報窓口)での制度化です。神原私案は第3者の「市長直属の行政適正化委員会」を窓口とし、調査する機関としている違いがありました。

■以上が要約ですが、自治体政府としての標準装備すべき制度の列挙でした。第9章「市民、市長、議員及び職員の責務」に関しても当日検討しましたが、続きは明日にでも書きます。次回8月26日(金)は最終章の「最高規範性と見直し手続き等」を終え、別件ですが「市民参加条例改正論議」をテーマとすることを確認しました。なおこの検討プロジェクトの成果としての「神原私案と狛江市制度の比較表」をこれも全員参加でつくります。したがって9月2日(金)と9月9日(金)にも日程を入れました。あらかじめ予定を入れておいて下さい。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2011年8月14日 (日)

狛江市議会では陳情者(市民)の発言は認められない?

■土曜日には第8回研究会で印象に残ったことを書きなぐりました。今回は引き続き神原私案と比較しながら、狛江市議会を解剖してみてあらためて発見したこと、不明であり宿題としたことについてレポートしてみます。そもそも「神原私案」といっても不明な皆様にはいま一つご理解いただけないかもしれませんのでその一部を抜粋してご紹介しておきます。
**********************
神原私案 第7章 議会と議員活動の原則
(議会の情報公開)
―略―
(議会の市民参加)
第26条 市民を代表する議会は、その代表としての性格にかんがみ、次項から第4項まで規定する市民参加を推進し、市民との連携によって活動の成果をあげなければならない。
2 市民が提出する請願及び陳情等は市民による政策提案であり、議会はこれらを委員会において審議するに当たっては、提案者が意見を述べ、及び委員会の委員と提案者が当該事案に関して意見を交換する機会を設けなければならない。
3 ―略―
4 前2項に規定するもののほか、議会は、時宜に応じて、多様な方法で課題別及び地域別等の市民参加を推進して、日常的に市民の意向を議会の政策活動に反映させなければならない。
5 議会は、前3項に規定する市民参加並びに議会の審議に必要な時間を確保するため、十分な会期を設定するとともに、開会中においても委員会を瀕繁に開催しなければならない。
―略―
(議会の自由討議)
第27条 議会及び議員は、議会の本質が言論の府であることを認識し、議員間の自由な討議の推進を重んじなければならない。
2 前項の目的を達成するため、次の各号に掲げる事項の実現を図るものとする。
(1)議員が提出する条例案等の議案の増大に努め、議員間の討議を拡大すること。
(2)議長は、市長及び職員等に対する委員会への出席要請を最少限に抑制して、議員間の討議を拡大すること。
(3)委員会の会議において委員外議員の意見表明の機会を保障すること。
(4)議員の自由な意思を尊重し、会派等による個人の意思の表明に対する拘束を抑制すること
―略―
(議会と市長等との閑係)
―略―
(3)地方自治法第96条第2項に規定する議会の議決事件を拡大すること。
(4)議員は、会期中、開会中を問わず、市長等に対し、文書によって質問することができるとともに、市長等は、これに対し文書によって回答しなければならないこと。
(5)議会の本会議における議員による質問とこれに対する市長等の答弁は、一間一答方式で行うとともに、質問内容の事前通告は行わないこと
―略―
(9)議長から委員会への出席を要請された市長及び行政機関の職員等は、当該会議において議員等の質問に対し反間することができること。
(10)議員及び会派は、行政機関の職員等に対して質問等の代筆行為を依頼してはならず、また、職員はこれらの代筆行為にかかわってはならないこと。
―略―
**************************
■狛江市議会に関心がある方なら、下線部分を見ていただくと大きな違いにお気づきになるかと思います。(前にも言ったように、すでに議会基本条例などを制定済みの自治体ではこれらは折込済みなのですが)前回ブログでは「議会改革小委員会」による改革度への評価(公開性)が話題となったことの報告でしたが、次は「議会への市民参加」です。以前のブログで「市民参加協働審議会(改正分科会)」の飯田委員が「地方議会には参考人と公聴会以外の市民参加はない(自治法に『市民参加』の規定ない)」だから「議会を市民参加(条例)の対象に加えるという石田委員の改正提案は無理」という主旨の発言をされていたことにビックリしたことを書きましたが、確かに今日常識となっている行政への参加も含めて自治法上は市民参加の規定はない。「市民参加」も「情報公開」も「行政評価」もみんな自治体発の造語(制度化)だったのですよね。

■さて、首長(行政)にばかり市民が参加し、その求心力がますます強化されるのを指を加えて見ていた我が市議会も、かってのように「市民の代表は議員であり、市政への市民参加(条例)は我々の存在をないがしろにするもの」なんて、もはや威張っていられないことは自明ですよね。その議会への市民参加の代表的な制度である請願・陳情者市民への取り扱いを「政策提案」とするとは、「請願・陳情」なる明治以来の官治集権政治の用語を使いたくないけど自治法上無視できないのであえて「政策提案」との言い換えを行っているの(多摩市議会)であり、その主権者市民の提案(陳情)の説明は必ず聞くという当たり前の礼儀が意外にもこれまでできていなかったのですね。

■実際、場合によっては相当数出てくる陳情者の発言をすべて保障するとなると、狛江市議会委員会のように、午前中で終わるのを習慣としていたり、年7~8回しか開かないのでは間に合わない。(だから「通年議会」とすればよいのだが)ところで「以前は必要により(判断が難しい時など)陳情者発言を許可していましたよね」とのハナシもあったのですが、実はあれは「休憩中」に聞くというもので、したがって委員会記録(議事録)には載らない非公式の発言でしかなかったのですよね。

■「ソーナンだったんですか、それでは狛江市議会では陳情者の(正式な)発言の機会は制度上一切ありえないのねですね」と釘をさされて、議会関係例規集や「先例集」をチェックする余裕もなく、慌てて「宿題にしましょう」とその場を収めたのが進行役の清水でした。あらためて「会議規則」や「委員会条例」そして「先例集(平成11年版)」にあたってみたが、やはり結論は「ありえない」が正解でした。念のため、月曜日に議会事務局にその件や議会改革小委員会の公開性の可否やその後の先例集の更新版について確認しておきますね。(ちなみに陳情者を「参考人」として発言要請する裏技もあるがあくまで裏技である)

■(議会の市民参加)第26条の4項には「多様な方法で課題別及び地域別の市民参加」とあるのは栗山町議会で言う「一般会議」(意見交換会)と「(出前)議会報告会」ですよねとみんなで確認しましたが、5項の「十分な会期」とは象徴的には所謂「通年議会」のことですが、実際には白老町議会、福島町議会(平成20年)に始まり、三重県議会、名古屋市議会等様々なバリエーションがある。

■その次の話題ですが「自由討議」(議員間討議)っていうけど実際の手順、やり方のイメージがイマイチ掴めないですよねとのハナシには、「自由討議を委員長が宣言したら、執行部側を退席させるパターンですよね」等のやりとりやら、自由討議の前提には議会として基本計画を始め各種行政計画の議決義務など総合政策に責任を持ち「最良の意思決定を導く」(栗山町議会)調整能力を発揮せざるを得ない「権限の拡大」が前提ですよね、などのハナシになりました。

■だから、できるだけ会派拘束を解き、文書質問がいつでも出来て、(ちなみに閉会中は文書質問の権利が及ばないという考え方もありますが、通年議会ならそれもクリアできてしまいますよね)一般質問の事前通告制をやめるのですよねと進んだとき、現職議員の参加者から、まったく事前通告を行政にしないとなると立ち往生状態になるかもよとの現場感覚からのツッコミが入ったのですが、質問の代筆行為は絶対やめるべきですよねとこれにはガッテンでした。話題の反問権(逆質問)ですが、議員間の自由討議ができる能力があり、事前通告もせずガチンコ議会を望むなら、首長・職員側からの反問も大いに受けつけようと言うこれも当たり前のハナシであり、今までの地方議会が如何にセレモニー「八百長と学芸会(片山総務相)」だったかですよね。(了)

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2011年8月13日 (土)

「議会改革小委員会ってあったのね」

■昨日(12日)の第8回自治基本条例研究会には12名の出席と助言者石井秀一氏(自治体総合政策研究所)という構成でした。神原私案「第7章 議会と議員活動の原則」と「狛江市制度の比較」ですから、狛江市議会の現職議員の皆さん全員にお誘いの葉書を出したのですが、2名の参加にとどまりました。なにも獲って喰おうというわけでもないのに相変わらず学習嫌いな方々ですよね。

■地方議会の制度をめぐる課題というか議論の幅は拡すぎて、とても2時間程度で収まるワケもないのですが、なんとか神原思想のエッセンスだけは確認できたかなという感じでした。それにしても、当日の配布資料もテンコ盛りだったのでそれらに目を通すのに忙しかったかもしれませんね。ちなみに報告者Iさんが用意した資料は、①各自治基本条例中の議会条項の比較表、②狛江市市民参加協働条例と議会の問題(逐条解説文)、③「狛江市基本計画(自治基本条例関連)」、④市民参加協働審議会「基本条例改正」答申、⑤「狛江市議会第4次議会改革報告書」であり、その他に補足資料としてIWさんから「狛江市議会会議規則他議会関係例規集」があり、清水が用意した「地方自治法改正の歴史(議会関係)」と「栗山町議会基本条例」、さらに助言者の「石井資料③」というものでした。

■そこでですが、私が「栗山町議会基本条例」(平成18年)を提出したのは神原私案(平成15年)を具体化し、発展させたのが栗山町議会条例だと考えたからであり、もっと辿れば「ニセコ町基本条例」(平成12年)から含めて、北海道の自治体学会系の学者・行政職員・市民の自治体改革運動の成果物としてそれらが存在すると理解するからです。事実、日本の地方議会史上、画期的な改革である栗山町議会基本条例をモデルに全国に波及しつつある「議会基本条例」制定運動のキャッチコピーはこの神原私案・議会条項の「公開・参加・自由討議」の三点セットなのです。

■そのように議会改革の標準をこれありきに設定することが良いことかどうかですが、狛江市議会「議会改革小委員会」8年間の迷走ぶり(私自身も前半参加していた)を考えたとき、結局どの会派・議員も改革プラン・改革モデルを提示し、それを突合せ調整することがなかったことにその原因があったとの反省を踏まえたとき、ナンとしても改革の枠組み設定が必要だと考えるからです。

■さて、例によって正確な研究会会議録ではなく、清水の振り返り補足論ですが、Iさんの報告で、意外にも「エーそんなのやってるんだあ」と多くの出席者にとって「発見」だったのが「議会改革小委員会」の報告書でしたね。それもそのはずで10年一日のごとく「テレビ中継・ネット配信ドーする?」ってな議論やってるだけで、ほとんど目に見える成果を挙げていないからでもあり、さらに「開かれた議会」を議論しているはずの「小委員会」が非公開の密室談議の場なのですから、市民が知るはずもないのです。

■そんなボロクソの「小委員会」だけど、平成22年末の第4次議会改革で唯一実行した改革がありました。それは「狛江市議会会議規則」に「全員協議会」「会派代表者会議」「各常任委員会協議会」を「協議又は調整を行う場」として正式(?)に設置を盛り込んだという改革でした。ソレッて新しくそういう会議の場ができたのではなくて今までも存在した会議ですよね。一体どこが「改革」なのよって云われそうですが、実は今までが便宜的な代物で、「全協」は本会議に諮らずあるいは本会議でモメそうな議題を事前に行政側が議会を懐柔するため使われていたり(事前審査)、「会派代表者会議」はこれも本会議以前に議会人事などを(選挙規定があるのに)密室談合で決めたりする会議として問題視されていたことから、これを公開の場に改めるという改革なのでした。

■フムフム、それは開かれた議会への一歩前進であり、狛江市議会もなかなかやるじゃないかと思われるむきもあるけど、実はこれって「地方自治法改正(平成20年改正)」の「外圧」の結果というハナシもあるのです。そんな背景があるからかどうかわからないけど、肝心な「会議規則改正」は4月施行なのに、未だもってホームページの「例規集」は更新されていないというオマケのハナシもありました。

■「公開なくして参加なし」は行政も議会も同じですよね。例外としての秘密会はあっても、議会を白日の下におく(米のサンシャイン法)という大前提から発想すべきであり、狛江市議会に未だ残る文化のように「傍聴者が居たら本音で話せない」などは論外ですよね。一刻も早く「議会改革小委員会」も公開の場とすべきですよね。

■さて、その「自治法平成20年改正」ですけど、第28次地方制度調査会の答申や全国各議長会の要望による地方議会改革のパーツのひとつですが、議会の透明性という観点と同時に「議員の身分・報酬」がセットの法改正だったのです。今まで非常勤公務員に準拠してきた報酬(身分)が「議員報酬」として格上げ?されたのです。「正式な仕事」つまり本会議・常任委員会出席は年間50~60日しかないけど、実は様々な協議・調整の会合も仕事として認めてよねっていうことでもあるのです。会議規則上、正式な会合となれば、公務災害補償の対象となるし、狛江市議会では支給していないけど、費用弁償(日当)の対象にもなるというワケです。

■事実、狛江市議会の議会改革小委員会での「改革論議」の実際は「公務災害の対象」という実利があり合意は早かったとか。そういうセコイ話はともかく、そもそも自治法改正のお墨付きがなければ動かないという感性が問題であり、現に栗山町議会条例は自治法にないけど、こんなことも合法的(条例制定権)に出来るんですねというカルチャーショック(私もその一人)を全国に与えたのでした。その象徴が「自由討議」と「反問権(逆質問)」や「一般会議」(市民と政策討議)や「各種行政計画の議決事項化」による「存在感のある」脇役でない力強い議会への改革ですよね。

■とは言え、自治法改正は栗山町を始めとした先進の議会改革を取り込んで普遍化したものでもあるわけでして、その意味で最低限の議会改革標準とも言えるのですから大いに参考になるワケですよね。ですから私の方で、議会関連の自治法改正の最近の歴史を要約した一覧表をオリジナルで提出したのでした。

■ざっくりですが「平成18年改正」「平成20年改正」「平成22年改正(23年5月公布)」「平成23年改正(未上程)」とあり、特に「22年改正」の「議決事件の範囲の拡大」と「基本構想策定義務付け廃止」は栗山町議会等でとっくに実施済みですが、「基本計画」や「都市マスタープラン」など各種行政計画を議決事項として、ドブ板・パフォーマンス質疑や、シングルイシューばかりの一般質問でなく、総合政策と向き合う責任ある議会審議とすること、さらに「23年改正案」の「通年議会など会期自由化」で議決事項拡大に対応し、守備範囲の広い、常勤職に限りなく近づける?仕事量倍増の議会を実現する改革は目の前に要請されていることになりますよね。

■暑いのでこれくらいにして、続きの「発見」のハナシは又。
次回自治基本研究会(8月集中月間)は第9回8月19日(金)、第10回8月26日(金)いずれも中央公民館で6時半~です。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

« 2011年7月 | トップページ | 2011年9月 »