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2011年8月22日 (月)

自治体政府の標準装備

■8月19日(金)の第9回自治基本条例研究会は10名の出席で行われました。前半は、神原私案の第8章「公正と信頼の確保」に関する制度比較であり、その項目は「行政手続」「外部監査」「オンブズパーソン」「競争入札」「市長交際費」「政治倫理条例」「職員倫理条例」「職員の報告」といったもので、担当のAさんが丁寧に狛江市の条例規則を拾って比較表を作成してくれました。

■「行政手続」に関しては、公的な事務の処理に関する市民からの請求に対し、市がその事務処理の基準を示すことにより、市民の権利利益の保護を図る制度ですが、平成5年の行政手続法により自治体も条例化が求められたものでした。狛江市の「行政手続条例」(平成10年)も周辺各市の条例ともほとんど相違がないほど総務省(自治省)のモデル条例を写しただけの条例であり、神原私案の言う「市民参加による基準の設定」は狛江市条例の今後の見直しを待たなければならないということになります。

■「外部監査」の項ですが、外部監査制度とは「カラ出張、カラ帳簿など自治体の財務管理のずさんさが問題となったことをうけて、1996年(平成8年)地方自治法の改正で新たに設けられた、外部の監査人に委託して自治体の財務監査を行う制度。都道府県、政令指定都市および中核市には義務づけ、一般市町村は任意とされる」「抱括的な監査契約のほか事務監査請求、議会・長からの監査請求、住民監査請求などについても個別に外部監査契約を結ぶことができる。外部監査人には弁護士、公認会計士、税理士のほか国、自治体での財務に関する行政事務に精通したものが選任される」(辻山幸宣)

■というものであり、神原私案が政令指定都市である札幌市を対象としていることから、外部監査制導入は当然なのですが、一般市の狛江市でも可能な選択です。しかし、これまで検討されたというハナシを聞きません。特にAさんの用意してくれた資料にもある(所謂外郭団体の)「財政援助団体監査」などには有効だし、そもそも議員枠一人と民間人の二人だけで、しかも独立性の乏しい監査事務局(職員は身内の役所人事)では厳しい監査ができないのは自明です。だから平成18年自治法改正で監査委員の数も自由化されたことも含めて、監査委員制度を再検討すべきだという結論になりますよね。

■次が「オンブズパーソン」です。オンブズパーソン制度の歴史を含めてAさんから解説もありました。平成2年の川崎市で始まった自治体オンブズマン制度ですが、多摩市、国分寺市、三鷹市も早い時期から設置されています。狛江市でも検討されたのですが費用対効果の点で見合わせられた経過がありましたよね、とのハナシがでました。神原私案では「市は、法律に基づく市民の権利利益の救済等の諸制度を補完し、簡易迅速に市民の権利利益の保護を図るため、オンブズパーソンを置く」とあります。議論の中では、「狛江市市民福祉推進委員会」も設置当初は「福祉オンブズマン」機能を有するとの触れ込みでしたけど、地域福祉計画等の策定、進捗管理に重点が移され、現在そのような機能はどこかに消えてしまいましたね、などが話されました。ワタシ的には、地方分権で強化される権限の中で、公権力行使に対する最強の苦情処理機関としてのオンブズマン制度は必須アイテム(標準装備)されるべきだと思います。

■次に「競争入札」です。神原私案では「・・競争入札の実施要領を定める」以外に書き込みがなく、神原教授は入札改革にあまり関心がないのかと思われるほど不充分なものと云わざるをえません。私の方からは、「狛江市入札改革プロジェクト」(平成17年報告書)が問題を先送りした結果、今でも公共工事の一般競争入札(制限付き)は1億5千万以上の事業にしか実施されておらず、三鷹市2千万円、立川市130万円以上が競争入札とされているに比べて極めて遅れている。総務省・入札適正化方針や市民オンブズマンが指摘しているように「指名競争入札」こそ、談合の温床であり、その廃止こそ改革の核心なのです。だから電子入札導入でも落札率は相変わらずの高止まりなのです。狛江市は市内業者育成の名のもとに、入札改革について10年遅れと云わざるをえません。もう1つ、オマケですが、契約議決事件も自治法(政令)で1億5千万円以上(一般市)とされていることも議決事項拡大の(分権改革の)ターゲットにしなければなりませんよね。

■次は「市長交際費等」です、神原私案が「すべて公開」と云っていますが、矢野市長は就任以来ホームページですべて公表していることは評価できるのではないでしょうか。また市議会議員の政務調査費に関しても狛江市議会(年間30万円)の政務調査費も条例により「報告書提出」があり、市民の公開請求に応じられるようになっています。報告者Aさんが気がついたことですが、市長交際費(食糧費も)に関する条例規則が見当たりません。これって矢野市長の政治姿勢として実施されており、制度化はされていないのでしょうか?これは宿題となりました。

■次は「政治倫理条例」「職員倫理条例」です。市長の資産公開条例が義務付けられています。狛江市議会の「議員政治倫理条例」も制定済みです。しかし職員については「服務規程」以上のものはありません。次が「職員の報告」の項ですが、所謂「公益通報制度」です。狛江市にも「公益通報規則」(平成18年)がありますが、すべて身内の役所内(職員課が通報窓口)での制度化です。神原私案は第3者の「市長直属の行政適正化委員会」を窓口とし、調査する機関としている違いがありました。

■以上が要約ですが、自治体政府としての標準装備すべき制度の列挙でした。第9章「市民、市長、議員及び職員の責務」に関しても当日検討しましたが、続きは明日にでも書きます。次回8月26日(金)は最終章の「最高規範性と見直し手続き等」を終え、別件ですが「市民参加条例改正論議」をテーマとすることを確認しました。なおこの検討プロジェクトの成果としての「神原私案と狛江市制度の比較表」をこれも全員参加でつくります。したがって9月2日(金)と9月9日(金)にも日程を入れました。あらかじめ予定を入れておいて下さい。

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