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2011年9月 6日 (火)

「参加条例・逐条解説書」も間違っている

■先のブログで「狛江市参加協働審議会・条例改正分科会座長」の「議会へ市民参加することはアリエナイ」(第3回改正分科会)のビックリ発言にツッコミを入れました。それは制定以来「7年間条例を使ってきた市民の目線から」の総括と「自治体運営の基本ルール(自治基本条例)の検討と併せて条例を見直すこととなります」(22年11月8日同審議会・山岡会長)の観点も踏まえて、自治基本条例研究会メンバーの狛江市参加協働条例への根本的な疑問に基づくものでした。

■前回は「市民参加」という概念が、市民参加協働条例制定(平成15年)によって不当に矮小化されてきたことを論証しました。そこでもう一度、関係者以外には見えていないので条例の該当箇所をコピーしておきます。

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第2条 この条例において,次の各号に掲げる用語の意義は,それぞれ当該各号に定めるところによる。
(1) 市民参加 行政活動に市民の意見を反映するため,行政活動の企画立案から実施,評価に至るまで,市民が様々な形で参加すること。
(2) 市民協働 市の実施機関と市民公益活動を行う団体が,行政活動等について共同して取り組むこと。
(3) 行政活動 地方自治法(昭和22年法律第67号。以下「地方自治法」という。)第2条に規定するところにより事務を処理するために行う活動
(4) 市の実施機関 市長,教育委員会,選挙管理委員会,監査委員,農業委員会,固定資産評価審査委員会をいう。
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■ですから、「議会への市民参加」という言葉は、少なくとも法規上は「ありえない」し、使えないのですよね。ところが私達が学習した「神原私案(札幌市自治基本条例案)」でも、栗山町議会条例でも多摩市議会条例でも、行政と議会に対して共通用語として「市民参加」を使っています。当たり前ですよね。狛江では例えば議会への市民の意見反映をわざわざ「議会参加」とでも造語しなければなりませんよね。

■さらに困ったことに参加条例の手引書(「基本的な考え方」)、業界用語での「逐条解説書」には以下のように書かれているのです。

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「なお、「議会」については、この条例に含めなかった理由として、そもそも首長とは異なる代表性を有する機関であること、及びこの条例の対象となる市民参加と市民協働にかかわる施策(第5条)を実施する機関ではないこと、したがってこの条例の実施機関(第2条4号)とはならないことと判断したためである。」
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■つまり、行政府への参加のみに限定した条例であるといっているのですが、問題は次の第5条です。

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(市民参加の対象)
第5条 市の実施機関は,次に掲げる行政活動を行おうとするときは,あらかじめ市民参加の手続きを行わなければならない。
(1) 市の基本構想及び基本的事項を定める計画等の策定又は変更
(2) 市政に関する基本方針を定め,又は市民に義務を課し,若しくは市民の権利を制限することを内容とする条例の制定又は改廃
(3) 広く市民に適用され,市民生活に重大な影響を及ぼす制度の導入又は改廃
(4) 市民の公共の用に供される大規模な施設の設置に係る基本計画等の策定及びその利用や運営に関する方針,又はそれらの変更
2 市の実施機関は,前項の規定にかかわらず,緊急その他やむを得ない理由があるとき又は市税の賦課徴収及び分担金,負担金,使用料,手数料等の徴収に関するもの(地方自治法第74条の請求権から除外されるもの)等については市民参加の手続きを行わないことができる。
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■前回のブログで「Aさんの指摘」がこの部分です。「大事なことを決める時は参加して意見反映する」制度ですよね、ところが解説書の「議会を除く理由」と第5条をよくよく読んで見て下さい。『この条例の対象となる市民参加と市民協働にかかわる施策(第5条)を実施する機関ではないこと』といっていますが、基本構想の「策定」や種々の条例の「制定」は行政のみでは不可能であり、議会での議決行為まで含めて初めて「策定」「制定」が完結するわけですよね。「市民参加」と言うか言わないかは別にして、明らかに議会も「第5条」の「実施する機関」の範囲ですよね。もともと政策決定過程への参加は議会もその対象にしなければ部分的だから、多くの自治体では「市政(行政・議会)への参加」を市民参加としているのですよね。

■参加対象の「実施機関ではない」とは勘違いの大間違いという結論です。これで、研究会の当初から、みんなで首を傾げてきた「解説書」の解釈論争にようやくピリオドが打てますよね?ややこしいハナシで恐縮ですが、また石井先生のコメントも戴けるとありがたいのですが・・・。

■「新しいワインと皮袋」もブログに書きましたが、「パラダイムシフト」(思考の枠組みの転換)が必要なとき、前例踏襲型思考の役所の論理やごまかすテクニックとしての法務に対抗する「政策法務」能力をワタシラ自治基本条例研究会がしっかり磨かなければなりませんが、そのフィールドワークの場を「市民参加条例改正」を掲げる参加協働審議会が提供してくれました。9月10日(土)午後1時30分~:中央公民館地下ホールに奮ってご参加下さい。

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コメント

 自治体総合政策研究所の石井です。
 意見を求められたので、若干コメントします。

 まず、狛江市の市民参加・協働基本条例が制定された当時は、「行政」の政策決定過程に市民を「参加させる」と考えていたわけですから、実施機関は行政機関に限ったわけでしょう。また、最初の頃の市民参加条例の目的は、行政の政策決定のブラックボックス化を透明化し、民主的統制の下に置くことを意図していました。
 したがって、議会は当初から含まれていなかったわけです。しかし、近年、政策決定過程は、どこまで入るのか、行政だけでなく、議会の意思決定過程まで含むものか、議論が深まってきています。
 確かに、清水さんが言うように、議会への市民参加もなければおかしいという指摘は、今日の流れです。近々の例が、議会基本条例による議会への「市民参加」です。
 これまで、首長はただでさえ強い権力(権限)を持っている上に、市民参加の手法を取り入れることにより、住民と近接し、住民の意向をバックにして権力を拡大し、さらに議会を優越してきているわけです。議会は完全に押し負けています。
 そうなれば、強い首長に抗うより、利権にありつくことを考え、オール与党体制で「首長について行きます」と決め込むか、議会の復権を望むかに大きく分かれることとなるわけです。後者の道を選んだ議会は、議会基本条例を制定し、その中で議会への市民参加の規定を盛り込み、政策の意思決定に向けて市民の意思を確認することで、住民と近接していくわけです。
 ここから分かることは、市民参加の道を議会が閉ざすことは、首長に更なる権力を渡すのみで、二元代表制としての権力の均衡が失われ、議会はお飾りとなり、議会不要論に収斂(しゅうれん)していくという、議会にとって負のスパイラルになるだけです。つまり、損をするわけですから、逆に行政側が「議会は実施機関じゃない」と言うのなら、議会側から、議会部分の条項を追加修正するという方法もあるのではないでしょうか。
 さて、「和光市市民参加条例」のように、議会も含めて制定するか、議会基本条例で制定するか、はたまた、市民参加条例において、「議会への市民参加については、別に条例(つまり、議会基本条例のこと。)で定める。」と一項入れておくなど、それは、立法上の技術、政策の問題です。
 いずれにしても、市民参加対象外の機関に置かれてしまうことは、議会にとって不利益なことであり、議会は猛反発をすべき事柄だと思います。
 審議会での議論を見ていると、「刻舟求剣」(舟に刻みて剣を求む)という中国の故事を思い出しました。

投稿: 自治体総合政策研究所 石井 | 2011年9月 6日 (火) 20時19分

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